101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
宇宙の深淵へ……少年少女の心理の深淵へ……
20代後半に表現者が内に溜まった物を出したいとの欲求が、一つのピークを迎える……。
との説が持論の黒田洋介氏がまさにその年齢の時期に、大半を脚本した青春漂流群像劇。
黒田氏と言えば、この人はもしかしてセリフで人が殺せるのではないか(苦笑)
と思えるくらい視聴者のハートに食い込んでくるエッジの効いた
セリフをキャラに言わせる、脚本テロリストですがw
本作の黒田氏の紡ぐ言葉の切れ味は、鋭利な刃物を思わせるくらいデンジャラスw
青春を生きる若者は、みな何かが欠けている。
だからみんなが手を取り合い、補い合えば上手くいく……。
……なんてことは大抵、夢物語w
不完全である自分を受け入れきれず、他者との折り合いについても、経験不足な若者たちは、
壊れた自分の欠片同士をお互いにぶつけ合い、刺し合い、傷つけ合う……。
青春の痛みを伴う衝突。
太陽からのコロナフレアにより太陽系の衰亡を確定させた「ゲドゥルト・フェノメーン」による
本作が放送された1999年とリンクするかのような、世紀末ムード。
少年少女だけで運行せざるを得なくなった未知の宇宙“潜艦”における、
船内秩序の不安定さ。
人類が生存不可能なゲドゥルトへの“潜艦”の深度(シアー)が増すにつれ、
暴露される思春期の若者たちが奥に秘めた時に凶暴な本性。
少年少女たちの葛藤が加速度的に激化していく。
その描写がヤバ過ぎますw
それらが青少年への毒の噴霧という欲求を自制しない、
黒田氏の計画的犯行による、以下のようなセリフに乗せられ、
心の琴線に切り込んでくるのだ。
{netabare}
昴治「弟のくせに……」祐希「またそれかよっ!」
祐希「いいかげんにしろ、このクソ野郎ども!どいつもこいつものうのうと生きやがって、
他人に全部おしつけてほったらかしか。何もしねえくせに主張ばかりしやがって。
しかもそれで何かをしたつもりでいやがる」
イクミ「過ちを犯すな!揉めるな!争うな!なじるな!傷つけるな!普通でいろっ!!」
?「この特権階級がっ!」
祐希「なんでそんなにお気楽に生きてんだよっあんたは!」
イクミ「昴治、祐希の方が正しい。正直もっとましなやつだと思ってた。
全員、死ぬとこだったんだぞ」
ニックス「なんでこんなやつがポイントフリーなんだよ」
昴治「明日なんか、明日なんか来なければいいのに」
{/netabare}
あぁ~~~もう……痛い!痛い!痛い!!
後年も黒田さんの関わったアニメは何作か視聴していますが、
バトルだろうが、ロボだろうが、恋愛だろうが、ジャンルを問わず、
スタッフ欄に黒田さんの名前があるだけで身構えてしまうのは、
概ね本作のトラウマによるものですw
だから本作監督の谷口悟朗さんの代表作が『コードギアス』と言われたり、
本作キャラクターデザインの平井久司さんの代表作が『ガンダムSEED』
と言われることにはまだ納得できますが、
黒田さんの代表作が例えば『ガンダム00』と言われたら、
「おい!君!そういうことはリヴァイアスで痛い目遭ってから言いたまえ!」
とルクスン北条っぽく言い返したくなるw
今までもそして多分これからも、
私にとっては『リヴァイアス』は黒田さんの代表作です♪