「千年女優(アニメ映画)」

総合得点
72.0
感想・評価
447
棚に入れた
2163
ランキング
1229
★★★★☆ 3.9 (447)
物語
3.9
作画
4.2
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人を選ぶ名作

2002年、今敏監督の映画作品。
ジョジョOVAを見て今さんの作品が気になったので。ちなみに初視聴です。
内容は明るいとは言えません。難解で人によっては疲れるかも…ていうか私は余計な事まで考えてしまったのもあり、少し疲れました;
苦痛だったということではなく、解釈が必要な上、幻想と現実が入り混じるので頭を切り替えるのに苦労した感じ。

【あらすじ】
芸能界を引退し、伝説となっている大女優・藤原千代子。彼女の熱心なファンであり映像制作会社社長である立花源也とカメラマン井田恭二は、インタビューを行うため千代子の元を訪れます。
千代子が昔なくした小さな鍵を立花が返すと千代子は自分の過去を語りだし、やがて幻想と現実、過去と現在が混じりはじめます。

千代子が「一番大切なものを開ける鍵」と語るのは女学生の頃に出会った男からもらったもので、思い出の中の彼と自分をつなぐもの。
本作のキャッチコピー「その愛は狂気にも似ている」のとおり、千代子の想いは一途ですがとてもあやういものを秘めています。

作画・演出・音楽・声優の演技などのクオリティは非常に高く、本作のポイントはやはり物語とキャラクターということになるかと思います。

{netabare}
現実として描写していると感じられるのは立花も記憶している部分や、防空壕のシーンなど戦争に関わる部分で、千代子が語った部分は実際のところどうなのかわからないですね。
回想の中で千代子が倒れるシーンが何度かありますが、ドーンドーンという効果音が気になりました。千代子が何の病気かは最後までぼかされていますが、もしかしたら脳の病気で、千代子の脳が破壊されていく音なのかも?と変なことを考えてしまった…。

千代子が鍵の君を追っているのは事実ですが、半分は戦争で失った明るい青春を取り戻したがっていると私には感じられました。
男性でも女性でも、思春期を戦時下で過ごせば失うものは大きいでしょう。普通なら結婚や仕事で満たされるのでしょうが、千代子は初恋を追うことで埋めていたと、何故だか私は感じてしまいました。

作中の描写からすると、糸車の老婆は客観的に千代子を見つめる自分自身(あるいは老いた自分のイメージ)ですが、糸車について調べたら、ウィキでspinsterという英語の古い言葉が出ていました。
素晴らしい糸のつむぎ手という意味で、後には結婚しない女性という意味も持つようになるのだとか。(男性に頼らずとも自活できるからだそうです)

最後の台詞は、初恋と青春を追いかけて新しい時代の幸福に背を向けた自分の人生の肯定なのではないかと思います。
最初はこのセリフ正直あんまりだ…;と思いましたがw

個人的に好きなのは詠子ですね。酸いも甘いも経験した現実的な大人の女性で、千代子とは対照的。良い人とは言えませんが感情移入しやすいキャラクターでしたし、女優らしく所作が綺麗なのが印象的でした。
女性の仕草は千代子も含めみんな綺麗でした!どの衣装もとても良いデザインでしたし、特に千代子の制服のプリーツスカートの翻り方とかめっちゃ好きw
{/netabare}

解釈の必要な要素も多いですしキャッチーでもありませんが、名作だと思います。(2016.3)

投稿 : 2018/11/29
閲覧 : 486
サンキュー:

18

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