たこやきトンママン さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
若手社会人が見るべき、オトナ応援アニメ。仕事、夢、生き方について考えるきっかけになる。PA作品やっぱスゴイわ…
※非常に主観に寄った感想です
アニメを見て大きくなって、
社会人2年目も終わろうかとなった今、
面白いと思えるアニメが少なくなった。
いい加減学園を舞台にした作品に
感情移入がしにくくなった。
かといってSFモノも何が違う。
ハーレム欲求はあまりないので、
ラノベ系作品もイマイチ。
アニメはどうしても
子ども〜中高生くらいの人が主人公になる。
それはそれでいいし、
そうあるべきだと思うけれど、
強く感じたのは、
現実世界を生きるオトナを応援してくれるアニメが
もっとあってもいいんじゃないかということ。
現実逃避もいいけれど、
たまには現実と向き合いたい。
SHIROBAKOはそれを叶えてくれるアニメだった。
制作進行、アニメーター、
脚本家、CGアニメーター、声優。
仕事として"好きなアニメ"に
携わるようになったキャラクターたちが、
それぞれの立場から「仕事と好きなものの距離感」を見出していくストーリー。
まぁあらすじはどうでも良い。
曲がりなりにも多少"自分の好きなもの"に
関わりのある仕事に就いた自分にとって、
そして、これからどうして行こうと
考え始めた自分にとって、
登場キャラクターたちの言動は
胸に来るものがあった。
制作進行のおいちゃんの成長過程は、
まさに自分も辿っている道筋だった。
入社して、
最初は場当たり的に仕事をこなして、
2クール目からは制作工程全体を
見渡せるようになり。
他社に引き抜かれる人をみたり、
新たな生き方をみいだして
転職していく上司をみたり。
特に、{netabare}「ケーキ屋さんになる」という
ぜんぜん違う夢を見つけて会社を辞めていく{/netabare}
上司 本田さんの存在感はスゴイ。
こういう生き方をするキャラを入れたこと自体がスゴイ。
そして悩み始めるおいちゃん。
「自分は本当にこのまま制作の仕事を
続けていくのか」と。
お気に入りのぬいぐるみ ロロが教えてくれる。
「甘ったれるな!
目先のことばかり考えてる時期はもう終わりだよ。
そろそろ少し高いところから
遠くを見る時が来たんだよ」
思考停止ぎみになっていた自分には
痛い言葉だったが、まさにその通り。
アニメーターの絵麻ちゃんの悩みも胸が痛い。
「好きなことを仕事にするのは幸せだけど、
そのうちそれだけではダメで新しい目標が必要になる」
という先輩から絵麻ちゃんへのアドバイス。
当たり前だけど仕事と趣味は異なるわけで、
趣味をきっかけに仕事を選ぶと、
今度は「仕事として何をするのか」という問題に当たる。
これまで考えなくてよかったものが、
そして同世代の友人がすでに乗り越えたものが、
目の前に現れたようだった。
自分の中にそんなモヤモヤを抱えた最終回、
劇中劇『第三飛行少女隊』のキャラクターの行動もよかった。
何がしたいという明確な目標もないまま飛行機乗りを続ける主人公が見つけた、
自分が飛ぶ目的、
{netabare}
「夢をもって生きる人を守ることが、自分の夢だ」。{/netabare}
こういう生き方もあるんだということを
教えてくれるよいエピソードだった。
昔『仮面ライダー555』を観た時に
同じようなことを思ったものだ。
新人声優のずかちゃんが、
{netabare}縁あって『第三飛行少女隊』に出演することになった{/netabare}シーンは
最高のカタルシスだった。
「{netabare}今私、少しだけ、夢に近づけました{/netabare}」
の台詞は、ずかちゃんの思いと、
ずかちゃんが声を当てるキャラの思いとが重なり、
もう…なんだあれ…