えこてり さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
意外にも人間愛がテーマ
なのではないかというのが感想です。
1話観た後は「丸ノ内線?」「なるほどわからん」「生存戦略~歌がかっこいい」というぐらいの印象でした。
中盤まではネタやギャグに寄ってるんですけど後半からシリアスに。
最終回は感動してしまいました。
「少女革命ウテナ」、後の「ユリ熊嵐」等の幾原邦彦監督のアニメオリジナル作品。
未視聴の方にどう説明して興味を促せばいいのかとても悩ましい。
抽象的な表現や各種アイコンにピクトグラム、
現実世界と空想世界との境界線が曖昧だったり突然変異したりと
奇抜な演出で独特な世界観が展開されます。
他の多くの方々がレビューしてらっしゃるように、
・頭真っ白にする
・あまり深く考えない
・意味不明でも気にしない
・ペンギンが気になる
・なんとなく面白ければいい
という感じで気軽に視聴するほうがよさそうです。
逆に全ての事象を謎や伏線と捉え、それらが回収されないと気が済まない方には不満が発生するかもしれません。
ですが大きなテーマはしっかり描かれていますし、それ以外は色彩は濃いけれど枝葉だと考えても。
それらを全て気にしてしまう事は、例えばピカソの抽象画、一画一画の意味を
本人に質問するのと同じぐらい愚行なんだろうと思います。
また、97年の神戸の事件も若干ですが、なにより95年の地下鉄サリン事件を大きくモチーフにしているので、
それらに対して強い不快感を感じる方にはあまりお薦めできません。
このように問題作とも言えそうですが、基本的なテーマはしっかりしているのでお薦めできます。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が好きなのでしたらなお良しです。
以下、ネタバレ雑感です。
{netabare}
◆印象的なシーン
・ドヴォルザークの「新世界より」が大音量で鳴り響きながら真砂子が問い詰め、
曲のサビに向かっていく盛り上がりが最高でした。
天才的な演出だと思ってしまいました(なにかモチーフがあるのかもしれませんが自分の知識だと不明)。
選曲は「銀河鉄道の夜」からでしょう。
・18話の最後の演出。「灰色の水曜日」がピアノ前奏長めで挿入され、
苹果の台詞とサブタイトルが重なりそのままEDへ。切なく美しい。
・19話の最後の演出。18話と打って変わって子供ブロイラーからの脱却。
希望に溢れる「Hide and Seek」。
・冠葉を逃がすために真砂子が身代わりに、「嫌だわ、早くすり潰さないと」。
OPのシーン回収きた!
・最終回、運命の乗り換えのシーンにて、駅名が蠍の炎(これも「銀河鉄道の夜」から)に変わるところ。
晶馬「ありがとう、愛してる。」(涙)
・苹果ちゃんの亀甲縛り
・痺れるねぇ、だよね、まじで?
◆声優について
・晶馬はとてもあっていた。
・冠葉はジャイアンだとよく言われてるようですが、自分にとってジャイアンと言えば初代の方だし、
最初は若干演技に違和感があるかもしれませんが中盤以降ばっちりでした。
・荒川美穂さんはプリクリ様の声でファンになりました。
プリクリ様の時やTripleHでの歌声は個性的で大好きなのですが、
陽毬の平常時の違和感が最後まで拭えませんでした。
癖のあるお声をしてらっしゃるので、ぴたりとはまる良き役に巡り会えますように。
・眞悧のちょっと鼻に掛かった低い声が最高です。どうみてもウテナの暁生枠です。
・真砂子役の堀江由衣さんが、このような演技もされるとは驚きでした。
最高に気に入ってしまい、個人的に一押しキャラです!
・能登さん、石田さんはいつもの安定感。
◆キャラデザについて
少女漫画風ですが好きな部類です。その特徴は特に横顔で顕著かも。
冠葉の回による違いが目立ちました。
星野リリィ先生のエンドカードが最高ですよ!
◆音楽について
2クール目はEDがその回に雰囲気にあったものに毎回変わります。
ARBのロックな曲(すみません原曲は知りませんでした)が可愛らしく仕上がってます。
橋本由香利さんのアレンジは本当に素晴らしい。ユリ熊のアヴェマリアも最高でしたし。
劇伴はピアノが印象的で、随所に流れる叙情的なメロディがしっとりとした雰囲気を演出します。
実は視聴して下書きしてから大分日にちが経ってしまい、
気になる部分など忘れてしまって、強く覚えてる部分だけ書き留めています。
どうかご容赦くださいませ。
とても印象に残る、良作だと思いました。
晶馬と苹果が結ばれますように・・{/netabare}