剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ただ、春の夜の夢のごとく
[文量→中盛り・内容→考察系]
【総括】
世界観やストーリーなど、「魔法少女まどか☆マギカ」に近いものがあるが、単なる物真似で終わらないだけの力ある作品。2期制作も頷ける。
実に無常観を感じる物語であり、なぜ日本人が桜を愛するのかがよく分かる作品だった(ちなみにレビュタイは、平家物語冒頭部より、抜粋。全体的に、平家物語感のするアニメだったから)。
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作は基本的に、①平和な日常でキャラを深め→②満開の代償で悲劇に突き落とし→③悲劇の中でキャラが迷走し→④代償を覚悟した上での満開で感動を呼ぶ。という構成になっている。
個人的に評価が高いのが、①のキャラの深まり。純粋な日常系アニメとしてもレベルが高いと思えるほど、それぞれのキャラクターに魅力があり、②③を引き立てていた。そしてもうひとつが、④での熱さ、特に「三好夏凜」の連続満開は熱く、良い主人公であった(笑)
一方、②③はまあ予想の範囲内であり、満開一回につき身体の機能を一部失うというのは、この手のアニメにしては優しい方だと思った。が、自死を試みる展開は、なかなかハードであったし、失われる機能がランダム(例えば、声を失うのはかなりハードだが、片耳の聴力だけなら然程でもない)なのは、各自に微妙な温度差を生み出す装置としては優秀だったと思う。
一方、唯一にして絶対的なマイナス評価としては、最終回の「中途半端なハッピーエンド」である。いや、私自身は基本的にハッピーエンドが好きなのだが、流石に「神様が供物を必要としなくなったから返ってきた」では、納得できない。それでは、風の怒りや東郷の暴走、夏凛の決意が茶番になってしまう。それに、根本的に世界は救われていないので、未だに悲劇の真っ只中であることを考えると、素直には喜べない。どうせなら、世界丸ごと救うくらいやっても良かったかも。
もっとも、おそらく本作は2期の制作が前提にあり、実際、2期であり過去編にもあたる「鷲尾須美は勇者である」を観ることで、かなりの部分が補完された。本作で「実は回収していた」伏線を、2期を観ることで確認できるのは、面白い構成だと思う。
古くより、「無常観」を体現してきた、日本人が大好きな、桜。当然、本作の最たるモチーフになっているわけだが、その魅力がよく表現されていた。
桜は、散るからこそ美しいのであり、また咲くからこそ、幸せを感じられる。
この作品の評価は、本作単体では出来ないのだろう。過去編にあたる「鷲尾須美は勇者である」と、本作の「真のラスト」を繋げ、大きな物語として完成した時に、最終的な評価が出来ると思う。
今現在、「ゆゆゆ」→「わすゆ(7話)」→「わすゆ(総集編)」まで観ている段階なので、今後の(ハッピーエンドかバッドエンドかは分からないが)「素晴らしい結末」に期待したい。
{/netabare}