狗が身 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
分かる…センチメンタルだよ、アンタの。
前作でのグリプス戦役を生き残ったハマーンと、新たな主人公ジュドーの戦い!
……という戦いの構図なのですが、実際に観てみると大きな戦いよりは小競り合いが終盤まで続いてる感じで、盛り上がりには欠けるかもしれません。
その代わりに、本作はストーリーではなくエピソードが面白かったですね。
今までは目立たなかった、コロニーや地球といった、環境や土地ならではのエピソードが多く、宇宙世紀という舞台を改めて楽しめました。
また、本作の主人公であるジュドーは、初代、Zとはうってかわって明るく、逞しい少年像だったので、あまり辛気臭くなりすぎず、とても観やすかったですね。
これまで劇中にてニュータイプ同士の感触は「気持ち悪い」ものと言われていましたが、このジュドーに関してはプルもプルツーも気持ちが良いものと感じており、カミーユとの共感を拒絶したハマーンも、ジュドーにはシャアの時と同じく求めるものがありました。
これはおそらく、前作のカミーユが説いた「命の力」に満ちた少年だからでしょう。
ハマーン・カーンという女性は、Zの頃にはいまひとつその目的を見いだせないキャラクターでした。
彼女の目的はザビ家復興ですが、その真意は自分が女王になることです。
しかし、それはただの支配欲からくるものではありません。
彼女の本当の目的は、地球圏への復讐です。
多感な時期である思春期を地球圏を離れたアステロイドベルトに追いやられて過ごした彼女にすれば、地球圏でのうのうと生きている人々を恨むのは仕方のないことかもしれません。
ジュドーが彼女に叫んだ「憎しみを生むもの、憎しみを育てる血を吐きだせ!」はここからきているものと思われます。
また同時に、彼女は守られたい願望を持ち合わせた少女らしさも秘めています。シャアに固執するのは、年上の男性(しかもイケメン)に、自分を守ってくれるような強さを求めているからです。
だからこそ、ジュドーとの最期の戦いで彼女は、ジュドーの強さに微笑を浮かべて逝ったのです。
この作品は、ハマーンの物語と捉えて観てみても、また違った面白さを感じる作品でもありました。…と言っても、ハマーンが物語にしっかり出てくるのは中盤ぐらいからなのですけどね。