剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
刀を語る、刀が語る、刀で語る、刀に語る
[文量→中盛り・内容→感想系]
【総括】
皆さんは、どの、刀、語り、がしっくりきますか?
私は、全部です(卑怯)w
でも、そのくらい「刀」にこだわったアニメでした。
基本はバトルもの、ちょいとロードムービー的な要素も。絵柄から分かるように、かなりアクの強いアニメです。流石、西尾維新。テレビ放送も、「1話1時間×12ヶ月で12話」と、異例の放送スケジュール(だから、実質2クール作品です)。
それでも、確実に面白い作品です。名作と呼ばれるにふさわしいかと。
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ずっと、「るろ剣の十本刀」を思い出してた(笑) 特に記憶に残るのは、「汽口 慚愧」と「校倉 必」かな。どちらも妙に人間臭くて、好きなキャラでした。
作画に関しては、こんな線が少ない絵でも、夢中に観られた。
果たして、この絵は上手いのか? 下手なのか?
やっぱりアニメは、絵が大事だし、絵は重要じゃない。そんな感じで、なんか、超一流の皮肉を見せられてる気分……が、不快じゃないのが不思議w
最終話の流れは、賛否あるでしょうね。とりあえず、あの「燃えよドラゴン」的な流れには単純に熱くなりましたし、個人的には「賛」「でした」。最終話、EDが鳴り終わるまでは、「賛」「でした」。
映画「ラストサムライ」を思わせる、「刀の死んだ世界」。しかし、そこに最後の一太刀を浴びせる「刀」。まさに、「刀語」、というタイトルにふさわしい、渋いラストだな~と、感動していました……が、エピローグで、評価が一転。
いや、あれはいらんでしょ、普通に(汗)
なんか、冷や水をぶっかけられた気分で、一気に冷めました。せめて、「あれ? もしかして七花、生きてる?」くらいに留めておいて欲しかったな~。ここまできて、否定姫とヨロシクされても、ついていけないっすよ(汗)
最終話Cパートがなければ、評価は5でした。お気に入りに入れても良いくらい。
{/netabare}
【余談~文学部的なレビュー~】
{netabare}
第7話→鑢七実の、「(父が母を殺したか)真相は今となっては闇の中ですよ、いえ、薮の中かしら、最後にかかった医者も薮だったみたいですし、フフ」
→芥川龍之介の短編小説「薮の中」は、ある殺人事件にまつわる話で、その被害者は、とある夫である。加害者の候補は6人(うち、被害者の妻を含む)+夫本人(自害)、その7人の証言が微妙に食い違うというミステリーで、それこそ「薮の中」という言葉の語源です。まあ、七実のブラックユーモア的には、「夫が妻を殺したのか、妻が夫を殺したのか、フフ。」というところでしょう。
他にも、何ヵ所か芥川のパロディーっぽいところはありましたが、微妙すぎて、自信はもてません。
でも、ラストシーンの、刀の連続破壊から、尾張幕府転覆→失敗 の流れの中の、七花の純粋で退廃的且つ自暴自棄な自殺志願的ナルシストな態度は、どこか、芥川の晩年(河童や、或阿呆の一生)の世界観というか、美学に通じるものがあります。
それは、パクったとかパロディーとかそういうレベルでなく、単純に、作者は芥川が好きなんだな~と思いました。{/netabare}