蟹チャーハン さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
全24話使い、丁寧に主人公の苦悩が描かれているのが素晴らしい
昨年、やたらとCMで見て作品のことは知っていたんですが、
ああもしつこく見ろ見ろ言われると逆に見たくなくなる天邪鬼で、
ようやく初視聴となりました。
原作のコミックは1988年なんですね。
掲載誌が大人のマンガのイメージで存在すら知りませんでしたが、
当時でこのアイデアってかなりスゴイ気がします。
ある夜、空から寄生虫の種子が降ってきて、人体に宿して
エイリアン化してしまう事案が多数発生。
人類を捕食する存在として幅を利かせ始める…。
主人公も危うく乗っ取られるところだったけれど、
寄生虫の侵入を腕までにとどめて自我を保つこと(人間らしさ)
を失わずに済んだと。
以下ネタバレ含むです
{netabare}
物語の当初の寄生獣は連帯の意識もなくバラバラに行動して、
時に潰しあっていたんですが、それが自然と徒党をくんだり、
無闇に人を襲わなくなったり、それぞれ自分が存在する理由を
考え始めたりするのがポイントでしたね。
いまの作品だとグールやアルペジオにもつながるテーマで、
それを25年近く前にやっていたのがすごい。
主人公は高校生で、できるだけ傍観者でいたいと思っていたけど、
身内や学校も荒らされてついに立ち上がる決意をするわけですが、
それでも決意がゆらぐときがあるわけです。
それは自分が人類の外敵とみられないかとか、
寄生獣と共存する道はないのかとか。
誰に事実を話してよいかとか、人類に勝機が見えてくると
一方的に殺戮しているのはどちらなのかとか。
この心のブレを全24話使って丁寧に描いているからか、
見ている側もしっかり考えることができるのがすばらしい。
なにかひとつの出来事で主人公の性格が豹変しちゃうような
作品が増えて来てる中、こーいうオーソドックスなつくりは
安心して見ていられました。
それは寄生獣側にもいえて、人間の子を宿して母となる田宮が
メインになる18話は涙すら流しましたから(笑)
しかもしっかりラストで驚かせてくれます。
それもかなりゲスな方法で!
話しを知らずに見ていたからか、もしもあのシーンがあのままで
終わっていたら、星1つにしてやるところでした!!
あははは
ちなみに、まるっと人間なんだけど殺人大好きなサイコパス役
の声をグリムガルのランタの人が担当していてタイムリーでした。
声だけ聞いていると、まるで気のおかしくなったランタそのもので、
暗黒騎士でしたっけ?らしさが伝わってきました。
それと主人公にとりつく寄生獣の声を平野綾さんがやっている
のも意外でした。見終えてからwikiで知って驚き~。
あそこまでらしさを消すっていうのも大変だったでしょうね。
{/netabare}