北山アキ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
肉体性を蔑ろにしない等身大で内省的な冒険物語
原作未読
正直、剣と魔法のファンタジー系は好きな舞台設定ではない。
剣はフロイト的男根で、美化されたマチスモで、、
魔法はそもそもご都合主義的願望の産物であるがゆえに、、
俺つえーな中二的英雄願望に走りがちになるからかもしれない。
だが、この作品はそのあたりを意識的に避けているように思う。 {netabare}
例えば、OPで多用されるデッサン風一枚画にはフェティシズム溢れるほどの写実性がある。
剣と魔法の世界において無視されがちな肉体性の復権を目指したことが伝わる。
(同クールの「このすば」は作風もあるけど、真逆の代表かもしれない。)
作中で言えば、特に序盤のゴブリン戦なんかは痛覚に届くかのようだ。
肉体性を蔑ろにしないからこそファンタジー世界でも迫真性が生まれるのだ。
心理描写は懇切丁寧だ。
淡色系の背景に展開する残酷な現実が、内省的なモノローグで語られる。
そこには、望んでやってきたわけでもない世界で強いられる命のやりとりや不都合を、
諦め、受け入れる過程が紡がれる。
これらが相まって、儚い夢のようでありながら生々しい手触りを感じさせる作風になっている。
ファンタジー嫌いでも観られる冒険譚だと思う。
OPの歌にはじわじわはまった。
アンビエントなブレーク・ビーツのように始まったかと思ったら、急にケルト音楽のフィドルが切り込んで来て、メタルなリフに繋がるけど、メロディはあくまでもキャッチ―。
これぞJポップというべき雑食性です。
8話まで観て
ここまで観てきてよかったと思える回だった。
ゴブリンでさえもただの経験値の餌ではなく、食物連鎖の同位者として描かれる。
(チェスができるほどの知的生命体)
特徴として、動くときは動くけど、アニメ作品としては妙に長い間も多用する。
これができるのは背景画の力を後ろ盾としているからだろう。
画がしょぼかったら擁護されないはずだ。
淡々としているようでしっかりとキャラを積み重ねてきているので、
ここからどう締めていくのか楽しみだ。
人間キャラもかわいいけど、ゴブリン作画にも愛が炸裂してる。
妙に仕草、表情に愛嬌があり、ブサイクな体型さえも愛おしさを醸し出してる。{/netabare}