退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
セリフで語らない素晴らしさ
いい作品ですよね。観ていてきゅんきゅんなりました。
本作の特筆すべきところは、三角関係とかで魅せてくるわけでもなく、そのまんまの二人を、そのまんまの姿で勝負しているところらへんwそれらを上手く魅せるために作画の演出が良かったと単純に感じます。
映像効果として被写界深度の中にモンタージュ理論があります。モンタージュとは組み立てるという意味。映像aと映像bを繋いだときにそれぞれの意味a、bとは別の新しい意味cが発生する、連続映像の化学反応みたいな感じです。
例えば二人での川のシーン。たまこがつまずいた所をもち蔵が間一髪助ける。その場面時における描写において、昔は助けられなかった描写(a)が切り込まれ。今回は助けるもち蔵の描写(b)が入り、目の前が真っ白になって走り出すたまこ(c)の流れは素晴らしい。セリフで語ることなく、作画で語るモンタージュによって一見普通な演出も鮮やかなものに変わってしまう不思議さ。
もち蔵の昔からの変化と、それに戸惑うたまこがスッと心に染み渡るように、自然に、的確に胸に入ってくる。走り出したたまこは普段庭のように歩いている商店街も、モヤがかかったように&シャボン玉が淡い恋心をはじけるように魅せ、彼女の周りが観えていない状況を何一つ語ることなく魅せることに成功した。このシーンの前に同じようなカメラアングルで一回商店街を歩いていたのが布石になっている。
また音楽が良い。単純にあいのうたは最近ローテーションになっていますし、
二人が気まずくなってからがすごいんですよね。インスト的に音楽が流れPVのように映し出された二人の様子は、セリフなんてものはなくても息が詰まるほどに伝わってくる。
上記したようなモンタージュが自然な塩梅で使われ、二人の糸電話における、微妙な機微の変化であったり、たまこが糸電話をキャッチしたりすることの珍しさを利用したり。二人の部屋のカーテン。灯りや流れてくる音楽。そのような何気ない日常にあるものを、ある意味ストレートに表現し切った初々しさは本作ならではであるし、恋としても青春としても単純に名作だと感じました。