「たまこラブストーリー(アニメ映画)」

総合得点
83.0
感想・評価
1246
棚に入れた
6617
ランキング
342
★★★★★ 4.1 (1246)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

アイン さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

映画のお手本

 この映画はTVアニメの劇場版というよりも一つの「映画」作品として非常によくできていて、TVアニメファンよりむしろ映画ファンに向けられていると感じました。

 まず、映画とTVの違いとして見る側の集中力の差があると思います。
 
 映画の場合はお金を払って観に来るものしかおらず、観客が全員、画面に集中することを前提に作られなければなりません。
 
 そのため、「映画」では説明的でないスマートな語り口が必要であり、語り口のスマートさが「映画」の良し悪しを決める要素の一つだと言えます。

 そして、この「たまこラブストーリー」はどうかというと。

 月と地球のカット、そしてアイザック・ニュートンの「by always thinking unto them(年がら年中、そのことを考えていただけです)」という言葉によって映画は始まります。
 
 月と地球がもち蔵とたまこの象徴であり、たまこの周りをもち蔵が回っているという人物関係をある意味ここで一度暗示しているのです。大きい何かが二人の小さな関係を象徴している。
 
 このように、よく考えてみるとこの数秒のシーンだけでも二人の関係が何か不変的なものであることを感じさせるし、これ以上ないくらいロマンチックでラブストーリーとして相応しい導入になっています。

 また、OP前の糸電話を投げて、たまこが受け取れずコケてしまうというシーン。

 このシーンは単純にギャグとしても機能してるし、たまこが少し天然なキャラクターだという説明にもなっている。さらに、たまこがもち蔵の思いをキャッチできないという二人の関係の象徴でもあり、ラストシーンと対比させる役割も持つ。

 こういったスマートな語り口や気の利いた演出がこの映画には多くあり、この「映画」がいかに映画のお手本的であるかということがわかります。

 難を言えば、背景などはすごく綺麗なのですがキャラクターの作画のクオリティが低いところが何か所かあったように思います。
 
 でも、やっぱりこの演出力の高さは認められるべきです。

 今、有名なアニメ監督が実力を認められたのも宮崎駿のカリオストロの城や押井守のビューティフルドリーマー、細田守のぼくらのウォーゲームなどTVアニメの劇場版が多くあります。たまこラブストーリーも大げさでなくこれらの作品の一つに数えられるようになるのではないかと思います。
 
 
 
 

投稿 : 2016/03/08
閲覧 : 220
サンキュー:

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