りくりく さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
病める時も、健やかなる時も
合唱部の5人が歌を通してたくさんのことに笑ったり、泣いたり、悩んだり、苦しんだり、そんな普通の高校生を描いた作品。
歌というものをそのまま描いた物語だったように思う。{netabare}劇の台詞にもあったように、歌は奇跡は起こせないけど人の心を癒すことはできる。この作品は劇的なことは何も無い。ごく普通の高校生がそれぞれの道を歩む中で、歌で結ばれ、笑ったり、泣いたり、タイトルのごとくさまざまなことがある。そんな毎日が歌なのである。
だから、登場人物のなかで特別な才能であっと言わせるような人がいなかったり、最終話で体育館が開かなかったり、世界を変えるような歌ではなかったり、そんな当たり前さがなぜだか心地よかった。
少年少女は歌のようにころころと顔を変え、そして流れていく。だから、ラストシーンの’ただいま’には自然と笑顔が溢れた。
歌というものが時間も場所も超えることができるということには素直に感動した。普通、愛する人の死という物は堪え難いものであり、ましてやひどいことをしてしまったのならば後悔はずっと続く。しかし、歌は遺され、それを紡ぐことにより、心は再び繋がれる。
そして共に歌った歌はたとえどんなに離れていようとも、思い出とともにその心に残る。{/netabare}歌の素晴らしさにもう一度気付かせてくれたこの作品は特別なものに感じられる。
ただ、キャラクターが似ていてしばらく見分けがつかなかったり、背景とキャラのギャップに戸惑ったり、中だるみしたりと、少し辛抱がいるものだったのは確か。