ようす さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
変わりゆく世界の中で変わらないもの。それは、あなたにとっては何ですか?
アニメミライ2015。
その中の1作がこの「クミとチューリップ」です。
製作は手塚プロダクション。
“アニメミライ”とは、若手アニメーター育成プロジェクトの愛称で、
国より委託を受けた団体による、
日本におけるアニメーターの人材育成事業だそうです。
アニメを日本の文化とし、若手の育成に力を注ぐこのプロジェクト、
アニメファンとしては嬉しい取り組みですね^^
ぜひ今後も続いてほしい^^
● ストーリー
舞台は文明が発達した未来。
建物も、乗り物も、ペットも、公園も、
すべて機械であふれた街。
公園を遊び場にしている少女・クミは、
絵描きの老人と出会う。
その老人は、いつもチューリップの絵を描いていた。
クミはその生命力あふれる絵の虜となる。
30分のアニメですが、
その間人物の音声は一切ありません。
感情は、表情や音楽で表現されています。
会話は、表情からの想像です。
これによるストーリー把握の難しさはありませんでした。
むしろ、想像力が掻き立てられ、
実際のストーリー以上に感じられるものがあったようにも思います。
機械だらけの街の中でチューリップを愛で、描き続ける老人。
たった一本のチューリップに
これほどまで生命力を感じられるとは。
普段私たちの周りにあって当たり前のもの。
それは失われて初めて、その輝きに気づく。
それはチューリップだけではなく、人の輝きも同じ。
ゲームに夢中になる子どもたちもまた、
自然と触れ合う中でゲームを手放していく。
まるでそれが本来の子どもの持つ輝きであるかのように。
世界は変わっていく。
その中で変わらないもの。
観る人によってそれが何なのか、
受け取り方は違うかもしれません。
私にとってそれは、
生命の輝きなのだなあと感じました。
あなたにとっては何でしょうか?
音声はないけれど、メッセージ性の強い作品でした。
また、見ごたえのある作品ではないけれど、
じんわりと心に余韻の残る作品でした。