aucheidac さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
擬似タイムトラベル
人間と魔族が争う異世界。
最強の勇者が単独で魔王城に突撃していくところから物語スタート。
ところが、城はもぬけの空で待ち受けていたのは赤髪巨乳で美人な魔王。しかもいざ雌雄を決するかというところで、魔王は勇者にパートナーとして共に歩む道を提示する。目指すは世界の安定と平和。そして二人は学士とその護衛の剣士として身分を隠し、人間界に行き、改革に乗り出す。
基本的には、魔王がどのように人間界を改革していくかが主軸です。
この世界は現実で言うと中世くらいのレベル。
魔王は図書館族と呼ばれる種族で、「外なる図書館」なるところで知識を蓄えた現代でいう学者のような人物。専門は経済だそうです。
ある意味では現代の知識人が過去にわたったら. . . という擬似タイムトラベル物とも捉えられます。理屈だけでいけば魔王は完璧なのですが、理論と実践は違うということで、予想外のことも多くある。このあたりは良い教訓になります。
<いいところ>
観るとわかりますが、結構勉強になります。
世界史やっている高校生とか入門と復習を兼ねて観たらいい勉強になると思います。
いろいろ時代的に混ざってる部分もありますが、中世ヨーロッパ、活版印刷がまだ無く(魔王が紹介する)、荘園制なので基本的には15世紀あたまくらいでしょうか。
ただ思想的には結構進んでいる印象です。メイド姉が演説で自然権的なことを唱えているので、17世紀くらいでしょうか。
教科書でもパラパラめくりながら観たら、イメージも作れて記憶に残りやすいんじゃないでしょうか。
<考えたこと>
人間界と魔族の対立は、ポストコロニアルな視点から、現実世界の旧世界と新世界の対立と並行して考えられそうです。
新大陸の食物などがまだ異端とされている点、魔族が恐ろしく醜い姿をしていると描かれる点はまさにそれです。
個人的には、魔王の赤髪がレッドスキンと呼ばれたアメリカ先住民の色を思い出します。
尺の都合的なものもあるのでしょうが、魔王の改革がなんだかんだでサクサク進んでいるように見えます。ただし、言語の違いがないからだという点はとても大事だと思います。
翻訳の手間がない。言語を学ばず、母語で意思疎通ができる、というのは楽なもんだろうなと感じます。
なんにせよ面白くて感動できて、勉強にもなるいい作品です。
受験生は息抜きなんかにぴったりでしょう。