Enchante さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:今観てる
アニメ版は洗練されている!濃密さも描かれている!
作画は原作より上質の仕上りで、毎回サスペンスフルに終わらせている構成は見事と言う他ありません。
ハイスペックかつハイクオリティの作品です。
アニメ版では29歳の大人の状況より、小学5年生時代のリバイバル(再上映≒タイムリープ)を重視して、より緊迫した展開になっています。
原作のエピソードがところどころ省かれている点もありますが、むしろ洗練と受け取りたいです。
演出に関しては、雛月加代が棒読みのようなテンションで
「バカなの?」
と言うシーンは抜群に効果的!
ある時は物語全体の暗さを演出するトーンになり、また別の時はほっこりする温かいトーンになり、陰影あるグラデーションになっています。
第8話からアニメオリジナル脚本が展開されていますが、原作にはない人間像の濃密さが加わりました。
{netabare}加代が朝食にこれまでにない家族愛を垣間見て泣くシーンは、蛇足ではありません。
アニメ版では、これなくして雛月加代を語るなかれ、というくらい素晴らしい演出です。
第9話で『僕街』ならぬ「私だけがいない街」における加代のナレーションは、これで最終回で良いと思うほど美しいフィナーレ。
「私は私だけがいない街のことを考えると、気持ちが軽くなる。遠く遠くへ行きたい」
が本来の意味から反転して、ポジティブな意味に変質するくだりは、陶然とします。
近頃の言葉で言えば「加代ロス」なる安堵感と共に、ほのかな喪失感を覚えました。
けれども、問題はまだ解決されていません。
この先はどのようになるのでしょうか?
ラストに出てくる女の子、かなりピリピリしていていましたけど、何ともサスペンスフルなクローズ! {/netabare}
個人的に今回のアニメ版(全12話)では最終回までに「僕だけがいない街」の意味が少し提示される程度で十分かも知れません。
原作が近日最終回になりますが、続編か映画で、しっかりと描いてくれると信じています。