りある さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
おうちへ帰ろう、お姉ちゃん。
貴方はきっと想像できる。
薙ぎ倒される東京タワーを。
逃げ惑う人々、子供の泣き声を。
ニュースのアナウンサーを。
繋がらない携帯、減っていくバッテリーを。
焦り、不安、苛立ち、絶望を。
人の優しさ、冷たさを。
そこで繰り広げられる人間模様を。
誰かの為に気丈に振る舞う彼らを。
愛を。死を。
人は強い。
人は弱い。
貴方は想像できる。
そして誰かを想って涙する。
{netabare}
公式キャッチコピー
『家族に会いたい、と初めて思った。』
災害パニック/現実的/人間味/兄弟愛/感動
★★★★☆(観て損はないレベル)
3.11の記憶もまだ新しい今日、誰もが東京大地震を容易に想像できることだろう。このアニメは、そこで被災し帰宅難民となった中学生と小学生の姉弟が歩いて家に帰るだけの話である。災害パニックとはいえ、スリリングな脱出劇やパニック映画のような派手さは期待しないでほしい。思春期の姉、お姉ちゃん大好きな弟、途中で出会った大人のお姉さん。ただそうなるだろうことが、そうなるだけである。現実はハリウッドではないと、私達は知っている。貴方と誰かの"もしも"がここにある。観て良かったと思える、"面白くない"アニメ。
1話完結考察アニメに比べれば内容や見終わった達成感は無いに等しく、アニメというよりはドキュメンタリーに近い。作画声優音楽何も印象に残らなかったのは、リアルに想像し感情移入するまでによそ見する暇などなかったからだ({netabare}あえて言うなら、せめてラストは余韻が残るようなED曲を選んでほしかったなぁ{/netabare})。モブ含め登場人物の誰もが、良い意味で"ただの人"だった。あっと驚く超展開やどんでん返しなんてない、"面白くない"現実だけがある。誰もが主人公で、誰かのヒーローで、そして敵だった。彼らの言動全てを違和感なく受け入れることができるリアリティは、貴方が今SFアクション映画を観たい気分ならつまらないアニメにしてしまうだろう。そういう意味で、"観て良かったと思える面白くないアニメ"だと思った。観ないと損とまではいかないが、観るなら一気に観てほしい。あの姉弟が、家に帰るまで。{/netabare}