kurosuke40 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
剣客はいいねえ
原作未読
熱い。最高でした。
酒井ミキオさんといい、最後のガッツポーズといい、スクライド彷彿させる場面がいくつかありましたが、スクライドに匹敵するかそれ以上の熱さを感じさせてくれるアニメでした。
「自身のアイデンティティ」たる『矜持』や「俺より強い奴と戦いたい。戦いが楽しくて仕方がない」という『バーサーカーソウル』、そして「何のために強くなるのか」という『内省』など、剣客という生き方を見せていただきました。そこにラノベ的なむふふ要素を付け加えられていますが、筋は通っています。筋を通すという目的のために凪はオネエなんでしょうけど(そうしないとややこしくなるのは目に見えるので)
剣客という生き方がわかりやすいのは委員長こと東堂刀華でしょう。
彼女が剣を振るう理由は「自身と同じ境遇の子供らに希望を与えるため」という外部的な部分と、相手に事情があろうが「満身創痍なところ悪いけれど、剣を交えたくてしょうがなかった」という内心からくる『バーサーカーソウル』です。そして彼女はクロスレンジでは無敵であるという『矜持』を持っています。彼女自身独白していましたが、ただ勝つことを考えれば、一輝の一振りを避けるのが最善なんです。誇りと誇りがぶつかった結果、あそこで剣が交わるのです。それが剣客なんです。
『バーサーカーソウル』というのは、人によっては体感したことのない欲求だと思います。勝敗がはっきりとする対決もので、いわゆるガチ勢でもならないと体験しづらいでしょうね。体験したことのない人はぜひご賞味あれ。ただし、飲み込まれないように注意を。
『バーサーカーソウル』が主な行動原理になっているのが蔵人です。彼は戦いが楽しくてしょうがない。強そうな奴がいたら挑発して喧嘩を売るし(こっちから喧嘩を売らないと、相手に戦う理由がなく全力で戦ってくれない)、ラストサムライにはデバイスを使わずに戦う(彼はただ勝つことが目的ではないから)し、ラストサムライの奥義と対峙するために二年間も待っている(けなげ)。文字通り戦闘狂なんです。逆にこのような欲求を持っていなかったのは綾瀬で、ラストサムライは大切なことを伝えきれなかったようですね。口で言っても伝わりにくいし、倫理的に大きな声で言えないことだけど。綾瀬のこの部分をテーマにしているのは、剣客の「戦いを愉しむ人」という部分が見えて良いですね。「ただ勝つことだけを考える人」「勝って相手に上に立ち愉悦に浸る人」などと剣客は違うのです。
作画のデザインはラノベ系なので凄みはあまりありませんが、肝心の戦闘が迫力があるので見てて楽しかったです。ただ主人公が剣術一辺倒なので、魔法部分の戦闘があまり見れなかったのが惜しかったかなと思います。
蛇足ですが、お父様の「バカが下手に知識を身につけて勝手に行動されると困る」理論亜種には一理はあると思いますが、費用対効果あっておらず、もはや感情で動いていて、理事長のいう通り根が深いんでしょうね……。
追記:今作にスクライドを彷彿させる部分はありますが、スクライドは「気に入らないやつをぶっとばしたい」という感情のほとばしりで、両者熱いですが、種類の違う熱さだと思います。
追記2:刀華は一輝との決闘前に「この人と戦いたい」意味で「この人とやりたい」という言葉を使っていて、性的な意味がちょっと出てしまう言い方をしている。わざわざこのタイミングで視聴者に邪念を抱かせるのは?と初見は思ったけど、きっとこれは正しい。剣客の世界において強い相手と相まみえたい気持ちは、性的に一意の異性を求める欲求に等しい。それくらい求めているという意味があるからそこ「やりたい」だったのだろう。
格ゲーでたら絶対会長使うわー。会長いろいろと男前で大ファンです。