なる@c さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
再放送はぜひ副音声で
今年で発売して10年になる同名小説のアニメ化。
アニメも、放映してから7年経ってなお愛される人気作品だ。
新房シャフトとしては『月詠-MOON PHASE-』、『ぱにぽにだっしゅ!』から連綿と続く奇抜な色使い、カット割り演出、随所に見える小ネタなどが特徴的だ。劇団イヌカレーが参加し、写真を用いたコラージュで回想、怪異のシーンを表現するなど、『さよなら絶望先生』で見せたダークな世界観も忘れていない。
2016年冬、『化物語 オリジナルマスターバージョン』が放送されている。副音声で『化物語』のキャラクター2名によるオーデイオコメンタリーが聴ける。これは同作品のDVD、Blu-rayにおいて収録されているものだ。脚本は原作者である西尾維新が直々につとめている。
脚本とはなんのことか。オーディオコメンタリーはメインキャラの声をつとめる声優が感想を述べるものだと思うかもしれない。しかし、このオーディオコメンタリーはそうではない。『化物語』本編のコメンタリーを『化物語』のキャラクターがするのだ。すなわち、1話のコメンタリーは堀江由衣と斎藤千和ではなく、羽川翼と戦場ヶ原ひたぎがつとめているということになる。その内容は、半分以上がただの雑談で、画面に関係する会話は回を追うごとに少なくなっていく。また、「ここは私が見ていていいシーンなの?」というような、難解な時間軸で続いていく『化物語』に関するメタ発言も大いに含んでいる。
どう聴いても、本編よりセリフ量が多い。そもそもこの作品はキャラの無言も一つの演出として成立させているので、コメンタリーが被さるととてもやかましくて面白い。
円盤の販売も落ち着きを見せているので、この再放送を機にコメンタリーも放映したのだろう。一度本編を観た方はもちろん、未視聴の方は二度楽しい。7年の月日を経て今なお続いている物語シリーズに尻込みしていた未視聴の方は、これを機に観てみてはどうだろうか。批判も多く見受けられるが、一応、1巻あたり7、8万枚もの枚数を売り上げた伝説的な作品だ。観て損はないだろう。