りくりく さんの感想・評価
3.7
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:----
惜しい…惜しすぎる
黒の契約者から、外伝を経ての第二期。流星による影響で契約者と化した双子の弟と姉。父の死を機に少女は黒とともに東京へと旅立つ。というあらすじ。
病みつきになるようなオープニングとエンディング、オープニングには少々歌と物語とマッチしない映像も含まれるが、それを補って余りある、少女の孤独な旅を描いたオープニングは素晴らしかった。エンディングも本作の世界観と非常に適合していた。
このシリーズはキャラクターの魅力に溢れていて、それだけでも30分見ている価値はあるだろう。特に{netabare}シリーズを通してサポート役の動物は欠かせないものになっているのではないか。また、個人的には探偵として脇役をこなしていた二人を元に別シリーズを作れると感じる。{/netabare}
このシリーズでは謎が謎に包まれ、登場人物達が闇に暗躍する、と言った風の世界観が素晴らしいのだが、本作ではその裏世界の雰囲気が少し薄れていたのが残念なポイントだった。
{netabare}一番惜しいと感じてしまったのは契約者という設定をうまく生かし切っていなかったのではないか。感情が無いと言われている契約者、しかし、幼児に興奮する変態、一人の女性を愛していると推測できる剣士、子供を忘れきれない母親。本作では契約者でありながらも揺れ動く心を持っている主人公とヒロインに物語の核があると思うのだが、契約者達があまりにも感情というものを見せ、人間のように振る舞うので、主人公達が目立たない。恋心が芽生えるのも当然では?と思ってしまう。
登場人物の無駄遣いという点ももったいない。有能そうに見える女性刑事は何もせずに最終話まで出演を続けたり、契約者でありながら全人類救済を成し遂げた少年の動機が不可解であったり、魅力的な脇役達は全然活躍しなかったり、主人公の一貫性のなさがうっすら伺えてしまったり。
魅力のある登場人物達、世界観、設定、ここまでのものを作り上げておきながら、何とも無駄遣いをしてしまった感が否めない。全て解決させず、そのままにしておくのが今シリーズの良い所というのならば、なぜヒロインに全ての種明かしをしてしまったのか。願いが叶う代わりに何かを失うという設定も生かされないまま。{/netabare}
シリーズを通して世界観にどっぷりと浸かって楽しませてもらいました。ただ、世界観を味わうだけの娯楽として終わるには残念すぎる作品だったとは思います。