りくりく さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
大人と子供の境界線
中二病を軸にしたラブコメディアニメ。中二病を題材にしているだけあって、所々寒気がする場面もあるが、しかし、中二病を子供から大人へと変わるモラトリアムとして、さらにはリアリズムに対するアイデアリズムとして扱っていて、ただのラブコメ以上に楽しむことができた。
子供はいつから大人になるのか。現実は時に未成熟な子供達にその冷酷さを以て差し迫る。今作品はそんな無慈悲な現実に対する無意識下の防衛手段として中二病を扱い、さらには冷たく何の色も付いていないつまらない現実主義的な現代に一石を投じる作品ではないかと思う。
水平線上にきらきらと輝く光は果たして船の明かりなのか。この物質世界においてそれは船の明かりに過ぎないのかもしれないが、悲しみに満ちた少女に見せられたその美しさは父の慰みの輝きではなかったと誰が言い切れるのだろうか。
本作は冷笑主義の蔓延った現代日本社会に夢を見させてくれるものであった。夢を見ていたって現実を見ていたって同じように時間は過ぎる。
しかし、だからといって中二病より恥ずかしいものはない。