蟹チャーハン さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
抱きしめてあげたくなる。居場所をつくってあげたくなる名作。
長いタイトルから普通のラノベなのかと思ってましたが、大反省! 人によってはすごく考えさせられる作品ですね。大笑いさせてもらいながらも、時に痛みMAXで見るのが辛いときもありましたけど、最後まで見終えて本当よかったです。
自分の身に置き換えてみれば共感できることのひとつやふたつ、あると思うんです。もしかしたら手に出来たかもしれない充実した生活。
それは勉強だったかもしれないし趣味の道を職につなげることだったかもしれない、恋愛だって運命の人だと思った相手と別れずにいまも一緒にいたら…とか。
もっとがんばれたら、あの時、あの瞬間に勇気を出していたらとか。
何かひとつでも違っていれば、まったく別の人生が待っていたかもしれない。
主人公の智子は社会不安障害なのかもしれませんね。
小学生くらいまでは普通の女の子ぽかったようだし、いったい何がきっかけだったのかわからないけど、中学までは少ないなりに親友もいたし(妄想壁はかなり進んでいたようだけど)まだ見た目にも普通の女の子だったんじゃないかなと。
そして晴れて夢の高校生活へ!
もっと友達つくろう人気者になりたい、彼氏も欲しいリアルを充実させたい! そう強く願う気持ちが裏目にでてしまい、辛い現実を目の当たりにして今度は悪いサイクルにはいります。そう、人を、世間を、人類全体を呪いはじめるんですねw
人を呪わば穴2つ・・・なんていいますが、口にするほど我が身の不幸を肯定することになるわけで、気持ち的にはどんどん落ち込んでいくだけだし、いいことはひとつもないんですが~。
智子が失敗する度に腹かかえて大笑いしてましたが、それも中盤を過ぎる頃から痛すぎる場面も増え始め、二学期が終わっても友達がひとりもいない現実に、見ていてちょっと辛くなりはじめました。
ただ、最後も最後で救いの女神というか、智子をちゃんと見てくれる人が現れたのは救いでしたね。あれがなければ絶望の物語でしたが(世間一般的には)、着ぐるみの熊さんに智子が抱きしめられたシーンにどれだけ心が救われたか! あああ、もしあの場にいたら自分もあの輪に加わって抱きしめてあげたかったw
変わりたいと願う気持ちがあるように、でもすぐにめげてしまうように、智子は人よりちょっとだけ打たれ弱いんですよね。(自分は智子を病気とか思わないし、人よりほんのちょっとメンタル弱い普通の女の子だと思ってます)
性格なんて大きく変わりようはないから、これから先の人生でも180度変わることはないだろうけど、ちょっとずつ小さな成功を自信に変えて積み重ねていけば良い方向にむかうと思います。智子は自分を文系と語っていたけど、ひとつところに打ち込める集中力とか時間をかけて成果を築ける理系肌なんじゃないかなぁ~とか。
うまくいったらたくさん褒めてあげて、失敗したらたくさん抱きしめてあげる。部屋に逃げ込まなくて大丈夫。布団に隠れなくても大丈夫。
智子のいられる場所はきちんとあるんだよってわかることが大切なのかもですね~。
ちなみに、全編にわたって数々の名作アニメのオマージュがちりばめられているので、いくつみつけられるか楽しむのもいいかもしれません。(中学時代の将来の夢は武器商人(ヨルムンガンドのココかよ)とか~)