どらむろ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
究極の邪道にして究極の王道(バクマン風に)
原作はウェブサイト発の漫画にして、空前の大ヒット作。
高い人気を誇る原作を元に、抜群の戦闘作画と豪華声優陣を投入したハイクオリティーアニメです。
「あらゆる敵をワンパンで倒してしまう」無敵の主人公…という、通常なら物語が破綻しそうな設定…を絶妙なバランスとストーリーで、痛快バトル&ギャグに転嫁した稀有な怪作。
近年のマンネリ気味なバトル系ヒーロー像に飽きている方に、是非括目して欲しいです。
{netabare}『物語』
地球に頻繁に怪人などの脅威がはびこり、これに対し大勢のヒーロー達がヒーロー協会に所属して活動している世界観。
主人公のサイタマのキャラクターが極めて特異、見た目冴えない、やる気皆無…でも圧倒的最強!
誇張抜きに文字通り「作中のあらゆる敵をワンパンで倒す」
…え?そんなんじゃあ、バトル作品が成り立たないんじゃ?
ところがどっこい。それでちゃんと「ワンパンマン」という作品が成立しているのが凄い。
強い敵が暴れる→弱い(弱くも無いだろうけどカマセ)ヒーロー達が善戦して見せ場作るもピンチ→サイタマがフラッと登場、ワンパン撃破!
という基本パターン。
ワンパターンではありますが、これで意外に成立しちゃってる。
サブキャラのヒーローが見せ場繋ぐ事で、バトルの緊張感途切れない。
※古いバトル漫画でも「ドラゴンボールZ」でサイヤ人襲来に対し、まずはヤムチャやクリリン達が応戦→善戦するも敵わない絶望→悟空登場!強いぞ悟空!
ワンパンマンは斬新な作風かと思えますが、結構古き良き王道に則っているのかも。
ならばワンパンマンは王道作品なのか?
と言われると、違和感を覚えます。
「少年漫画の王道を下敷きにしつつも、これを全否定する邪道でもある」
そこが本作の秀逸なアイディアだと思いました。
…一方のギャグ面では。
サイタマの存在自体が極上のギャグとなっており、十分に面白かったです。
サイタマはどんなに強くても、どんなに活躍しても、強さを貢献を認められない孤独なヒーロー。
それでもただ淡々とワンパンで敵を倒していく。
これだけだとラノベにありがちなテンプレ主人公…
なんですが、一切の正義や拘りを削ぎ落として「ワンパンで敵を倒す」存在感のみで語る、こういうヒーロー像もある、目からウロコでした。
モブ民衆の民度が低くクズばっかりな中で、弱くても正義や守るべき人々の為に命を懸けるヒーロー達の在り方は十分カッコイイのですが、これだけでは虚しくなる。
でも、そこに理屈不要のワンパンマンの存在で、理屈抜きの理想のヒーロー魅せてくれる。
…ここら辺の絶妙なバランスにより、既存のどの王道作品でも描けなかった独特の爽快感と喝采を生んでいるのでは。
これまで幾多の名作良作が生み出される中で、それら過去の王道を受け継ぎつつも、斜に構えた視点で再構成したヒーローバトル。
2016年現在、大勢の支持を得ている理由も分かる気がします。
…ただ、ワンパターンは否めず、秀逸なアイデアはある意味一発ネタな感も。
この先(2期があるならば)勢いを維持できるのかどうか。
原作は世界観やキャラクターに於いてまだ底は見せておらず、更なる盛り上がりが期待できそうです。
『作画』
サイタマのテキトー極まりないキャラデザが逆に本作の見所だったり。
他個性的なキャラクターデザインに魅力あり。
ドラゴンボールの系譜な戦闘作画の凄まじさは圧巻!現時点で最高峰に近いのでは。
『声優』
サイタマの古川慎さんはゴールデンタイムの多田万里や精霊使いの剣舞のカミトの人、全然イメージ違いますね。
強いてやる気無さそうに、でも決める時は気迫込める。良かったです。
ヒーロー達がかなりの豪華声優陣、癖の強いヒーロー達を熱演。
悠木碧さんのタツマキ良かった。
『音楽』
OP「THE HERO !! 〜怒れる拳に火をつけろ〜」は影山ヒロノブさんの醍醐味発揮の素朴に熱いヒーローソング!
飾りっ気無しに直球、アニソンはかくあるべし。最終話の挿入歌としても燃えました!
EDは森口博子さんが歌う良曲。Zガンダム思い出す…
楽曲面においても王道の豪華布陣で隙が無いです。
『キャラ』
物語の項目で記述しているので省きますが、主人公・サイタマの特異過ぎるキャラクターが本作全てを象徴している感じ。
今まで無かったタイプのヒーロー像素晴らしいです。
…ただ、あまりにも泰然自若とし過ぎていて共感は得難い感もあります。
5点満点か迷いました。
弟子のジェノス君は優等生だけど中々勝てなかったり、でも役割はバッチリ。
無免ライダーのような弱くても頑張るヒーローがカッコ良かったです。
他S級たちはいずれも個性バツグン、彼らの魅力のみでも物語を引っ張れそう。
タツマキちゃんかわいい。
今後まだまだ未登場キャラおり、本作の底は見えていない。
敵は王道な脅威、シンプルに強くて分かり易いのが良かった。{/netabare}