oneandonly さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
美しい作画と演奏に惹き込まれる作品
世界観:7
ストーリー:9
リアリティ:7
キャラクター:8
情感:9
合計:40
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった
元天才少年・有馬公生。
モノクロームだった彼の日常は、
一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも
個性あふれる演奏家・宮園かをり。
少女に魅せられた公生は
自分の足で14歳の今を走り始める。
(公式HPより)
あにこれでキャッチさせて頂いている方の本棚で軒並みお気に入りとなっている作品として以前から注目していましたが、SIROBAKOと同時期でそれ以上の評価点が付いている作品ということが視聴のきっかけでした。
A-1 Picturesの制作。これまで見た作品では、ソードアート・オンラインの印象が強いですが、あの花や宇宙兄弟もそうだったんですね。
第一印象としては作画のレベルの高さがあげられます。光と影の使い方や、演奏シーン{netabare}(特に、公生が自分のピアノが聞こえなくなる場面では、譜面から音符が剥がれ落ちていき、水没するところなど、弾けなくなるのが理解でき、絶望感が伝わってきましたし、最終回のかをりとの演奏の場面も美しさたるや!){/netabare}の表現、キャラクターデザインも良く、好きな制作会社になりました。
ヒロインのかをりとの共演が第4話ですが、そこが神回なので置いていかれることはなく(初見から、数回繰り返して見ました)、中盤の第10話、第13話も神回で(全て、公生の演奏シーンです)、物語のテンポ、内容にも安定感があり、得点はあにこれ評価で第3話時点4.2→4話4.4→10話時以降4.5の推移でした。
見ていて恥ずかしくなるようなエログロ等もなく、恋愛要素も爽やかに昇華されている作品ですし、おすすめできる作品です。
一方、私の好きな音楽物かつSIROBAKOよりあにこれ評価の高い作品ということで、突き抜けるところまではいかなかったのが意外でもあり、以下にその理由を自分なりに分析してみました。
{netabare}ストーリー。序盤の神回の4話くらいまでで、かをりにはその言動や病院の描写などから死亡フラグが立っていること、そして、タイトルの「嘘」がわかってしまいました。これは伏線をしっかり張っているという面で構成としては良いですし、しっかり描写されていると評価できるものでもありますが、展開の面白みという面では、どんでん返しがなく、後半は主人公たち以外にスポットライトを当てた回が増えて、テンポが上がらなかったのが大きいかもしれません。
リアリティ。多々、ギャグシーン的に傷害事件が起きて頭から流血するのは置いておいて。私はピアノの森や神の雫を漫画で読んでいるのですが、これらの作品で受けた印象として、その道のプロが感じることができる部分の表現に共感が得られないこと。作者も伝えるのが難しい部分だと思うのですが、例えば、風景や情景や絵画などでこれを伝えてきた場合、主人公たちがそれを思い描くのは勝手ですが、他者が同じイメージを共有できるというのは過剰表現だと感じてしまうのですよね。
公生がピアノのコンクールで、途中でピアノを弾くのをやめてしまうシーンがあり、観客の多くが「彼、このままだと弾くのやめちゃうぞ」と思っているのですが、私がその場で聴いていてそう思えるかすら疑問です。つまりは私の音楽センスがないからなのかもしれないのですが。演奏(のイメージ)を他者に言葉で説明させることが多いと、煙にまかれてしまったような気分になってしまうことがあります。
響けユーフォニアムを思い出すと、久美子のモノローグが入ることで必要な説明はされますが、演奏を言葉で説明するような場面はほとんどありません(言外では緻密な演出がされていますが)。伝わらなければ意味がないので、このトレードオフは難しい問題ではありますが、私は表現の解釈を委ねられる(ような気分にさせてもらえる)ほうが自然に感じられて好みです。
聞き手それぞれの記憶や感性で、思い描くイメージは色々で良いと思うのです。芸術の類は、受け手にどれだけ影響を与えられるか、インスピレーションを与えられるかが重要だと思います。もっとも、四月は君の嘘では、演奏回を神回と評価しているので、成功しているとも言えますが、気になる部分ではありました。{/netabare}
(視聴2016.1~2)
<2017.2追記>
live reactionとともに2週目を終えました。1週目では、ギャグや演奏表現、リアリティの低い部分などについて厳しめの評価をしていたのですが、改めて完成度の高さ(物語としてよく出来ている)を感じましたので、評価を上昇させます。
(評価調整4.5→4.7)