101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
日曜午前7時、賢者の清談
日曜朝では稀に、お子様向けの化けの皮すら被ろうとしない……。
色んな方向に弾けた、突然変異が出現することがありますが、
本作もそんなリミッターが外れた諸作品の一つ。
ロボが空を飛ぶ!を通り越して、もはや風に乗っちゃってる空中サーフィン、"リフ”からして、
イカれ過ぎていて素晴らしいです(笑)
この思い切りの良さは、表現の上でも、
キャラの思想の上でも徹底されています。
本作が放映された2006年と言えば、平成の表現大萎縮の病が表世界で着実に進行し、
若い表現者が続々と裏世界の深夜アニメや18禁PCゲーム業界などに潜行していた時期。
例えば、朝っぱらから、アニメで殺戮シーンなんてやったら、
槍玉に挙げられてもおかしくない状況だったはず。
けれど、本作は、んなもん知るかwとばかりに、
この惑星に広がる現実を画面にぶちまけます。
例えば、{netabare}主人公も殺戮衝動に駆られれば、敵を惨殺しますし、
人体実験や人体捕食の悲惨も包み隠さず公開しますし、
己の限界を越えた能力を引き出すために、
発狂しそうになる程の副作用があるクスリをキメたりします。{/netabare}
本作の場合、一見、過剰にも思える過激表現も含めたストレートな演出が、
クセのあるキャラの剥き出しの個を引き出すことに成功。
それらの人間及び一部コーラリアンたちの
ハートのぶつかり合いがアツいです。
そして、割と会話をオブラートに包まない感情表現と、
脳を覚醒させる電子音がBGMで鳴り響く中、加速する空中戦闘と共に、
タマシイのぶつかり合いはさらに過熱していくのです。
個人的に強く印象に残っているのは、
{netabare} 変な科学者グレッグ博士と変な宗教家(ついでに臭いw)ノルブが、
世界の真実について議論を交わすシーン。
よく宇宙物理学研究の最新報告などを見ると、
科学も宗教もアプローチの仕方が違うだけで、
たどりつく真理は同一だとの着想が芽生えてえ来ます。
本作の科学者と宗教家の対談はまさにそんな感じ。
とことんフリーダムな作風だからこそ、生まれた賢者の清談。
こんなワクワクする会話をアニメで目撃できるとは
まことに贅沢な一時です♪
で、結局、世界の真理にたどり着くのは、少年少女の恋と若さと冒険心。
この構図の直球表現がたまらなく好きです♪{/netabare}
私はインドには行ったことはありませんし、意味不明ですが、
本作は多分最もインドに近いロボットアニメだと、
自分なりに勝手に納得していますw
アニメーションにおける飛行表現についても、
個人的に静の『魔女の宅急便』と動の『エウレカセブン』として並び称したい双璧。
特に{netabare}危険音楽ドラッグ「Tiger Track」と共に、空から首都を強襲するシーンは自分の中では伝説です。{/netabare}
リミッターを外したい方などにオススメしたい作品ですが、
サントラを聴きながら車を飛ばすのはアブナイので止めておいた方がいい(苦笑)
そんなフリーダムなテレビアニメです♪