「灰と幻想のグリムガル(TVアニメ動画)」

総合得点
87.5
感想・評価
1966
棚に入れた
9456
ランキング
152
★★★★☆ 3.9 (1966)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.8

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タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ありがちな「異世界ファンタジー」に一石を投じた異色作

※4話まで観て書いた感想を残して、その後に視聴後の感想を付け足します。
 今後視聴途中でコメント書くのは中途半端になるので差し控えようかと。。
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まず独特の背景描写と光の差し方、凝った音響、人物の台詞の間、
などまさにタイトル通り幻想感が漂う、雰囲気のある世界観が印象的。

ラノベにありがちな異世界冒険もの、と思いきや、この作品は一味違うようだ。
導入部の設定こそテンプレだが、多くのラノベ作品が取り上げないような、
「都合の悪い部分」を敢えて描き、登場人物たちの直面する問題や、
抱えている心情を生々しく描いている。
HPを見たら「生きるって、簡単じゃない」とあるので納得した。


モンスターを倒してアイテムゲット、なんていう展開は、どんな冒険ものにでもあるものだが、
相手も生きるために必至、こちらも命を奪うのだから、残酷さや血生臭さを描かないと言うのは、
ある意味ご都合主義の極みとも言えるが、この作品ではそのような場面を敢えてリアルに描いたりして、
登場人物たちが感じる内面をよく伝えている。

またモンスター自体(4話ではゴブリンしか出てないが)も妙に人間っぽく描写しているが、
これが現実世界では人間だった、って設定もありそうな感じがしないでもない(笑)

3話までは順調とはいえないものの、冒険も軌道に乗り始めたかに思えたが、
4話に来て急展開。

唐突とも思える展開は泣けるようなものではなかったが、
よく考えるとそんなにトントン拍子に上手くいくはずがない、と捉えると至極当然とも言える。
「それも、金取られるんですか?」というハルヒロの台詞は、この作品ならではだな、と感じた。
ただ、やはり挿入歌1曲丸々入れて動きも少なく台詞なし、更にその後エンディング、
という構成&演出はイマイチ効果的じゃなかったようにも思えた。

原作はどうだか知らないが、4話の展開を観る限り、今後は鬱展開になっていくのだろうか?
それとも4話を契機に成長していく様を描く物語なのか?

ていうか、1クールでどういう終わらせ方をするか、がかなり気になる。
展開自体は遅いが、自分としてはラノベらしくない今作の作風は好意的に受け取っている。
でも、所謂「普通のラノベ」が好きな人間からしたら、
本作のリアル路線や展開の遅さなんかは我慢ならないんだろうな、と思う。

良作なのに売れず続編が作られない、という臭いがプンプンするのだが…

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※5話以降は4話の展開を引きずった登場人物達の心理面が時間を掛けて描かれ、
また新たな仲間が加入し、その仲間との関係性、過去のトラウマを克服するような内容で、
戦いと心理面、両方成長していく過程が描かれていた。

この作品は登場人物たちが抱える問題に対する「等身大」の感情がとてもよく描かれていると思う。
ともすれば命を簡単に扱うアニメが多いなか、身近な人間を失った際に抱く感情、
至極真っ当な人間味のある描写がされているのは評価に値する。
また全般的に静かに、間を長く取って観る者に想像、考えさせるような作りは好印象で深みがあった。

しかしながら、この手のジャンルを逆手に取った作風であるがゆえに、
観るものを選ぶ物語の作り方とも言える。
話がなかなか進まず、退屈と感じる人が居るもの不思議じゃない。
終盤はこの手のジャンルらしく、ちゃんと戦いに焦点あててたから個人的には充分だが、
やや作中で間延び感がしたのは否定しない。

視聴後の感想を見ていると、賛否両論あるのは予想通りだが、
意外と評価している人が多いのは、これはこういうジャンルだから観れた、ってことなんだろうか。。
まぁ個人的には地味でも、こういう作品が評価されるのは良いことだと思っている。
(逆に言えば、作品が多いとはいえ、最近のアニメがご都合テンプレに溢れていることは、非常に嘆かわしくもある)

2期があれば言うこと無いけど、この後の展開は普通のファンタジーRPGっぽくなってしまわないかと少々不安ではある。
円盤は自分が予想していたより売れているみたいなので、もしかしたらあるかも知れないですね。


個人的な提案というか、もう少々鬱展開やショッキングな事件なんかが起こると、
退屈さを感じた人の目を覚ます事もできるだろうし、
より深みが出て観るものを引き込むことが出来たかもしれない。

例えば最初の方でゴブリンを生々しく描いていたので、モンスター自体にスポットを当てて、
単なる無機質な殺傷目的としての存在ではなく、モンスターにもドラマがあるように描けばどうだろう。
生きていくためとはいえ、人間がモンスターを倒す事自体への葛藤なんかを描いても面白そうだ。

で、モンスター自体も実は人間で、殺したモンスターが現実世界の親友や恋人だった、
なんていう設定だとまだまだシリアスな展開に持っていけそうなんだが(笑)


☆声優☆

ハルヒロ演じる細谷佳正さんの演技が、如何にも等身大って感じの生々しさがあって良い。
その他のキャラも間を生かした演技は人間味があり、作風に合ってて良いと思う。
小松さん演じるユメの関西弁はネイティブのイントネーションじゃないけど、これはこれで良いですね。
自分は関西人だけど、何故アニメで関西弁ばかりが取り上げられるのか、は常々疑問だけど。。
(色々方言はあるし博多弁とか結構可愛いのに笑)


☆キャラ☆

各キャラの内面、感情面が丁寧に、というか殆どその部分がメインで描かれている。
ラノベ原作のアニメでここまでしっかり描かれる作品というのは、そんなに多くはないと思う。
(俺ガイルとかも一応そうかな)
まぁ、ストーリーの進展を犠牲にしている感は否めないが。。


☆作画☆

背景はかなり美しくて、独特の世界観を醸し出している。
光の刺し方なんかの描き方も、かなり凝っていると思う。
キャラも巧く描かれているけど、EDの画のように描けたらもっと背景とマッチしたんだろうなぁ、
と思うけど、さすがにTVアニメにそこまで求めるのは酷でしょうね。
時々キャラと背景がやや浮いた感じにも見受けられるのは、
背景が淡い質感を追求しているので、致し方ない部分かも知れない。

6話で素人でも判る致命的な作画ミスがあったのは少々残念だったけど、円盤では修正されるでしょう。。
A-1ピクチャーズは今期3本共に安定した作画で驚いたが、やはりしわ寄せはあるんだろう。。
製作陣の方々、体には充分に気をつけてもらいたいと思う。


☆音楽☆

OP,ED,挿入曲共に(K)NOW_NAME名義のものが使われている。
この作品中でかなり推したいのだな、というのが分かるが、
こういうアニメとリンクしたミュージシャンとのコラボっていうのは新しい試みで良いですね。
さすがに単なるタイアップ曲じゃなく、物語の内容をよく考慮された歌詞にもなっていて、共に聴き入る良い曲ですね。

ただ、挿入曲に関しては、やや多用しすぎなんじゃないかという印象。
ただでさえ間を生かした会話が多いのだから、挿入曲を入れ過ぎると間延び感が出てしまうと思う。
その他、作中BGMで9話のヒップホップ調の曲とかは正直微妙だった。。

音響面はとても丁寧な印象で世界観に合っていて素晴らしい。

投稿 : 2016/04/17
閲覧 : 320
サンキュー:

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