Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
BETA侵攻に始まった世界レベルの危機に抗う人類の物語・・・
この作品は、原作であるゲームのスピンオフ企画として立案されたメディアミックスの一つだそうです(wikiより)。
実は全然何も知らず2016年冬アニメで放送されている「シュヴァルツェスマーケン」を視聴していたところ、友人から「トータルイクリプスと設定が同じだね」と教えて貰いました。
ネットで調べてみたところ、どちらも本編のスピンオフ作品との事でした。
「繋がりがあるかも・・・」
こう考えるともう止まりません。
シュヴァルツェスマーケンは始まったばかり・・・今なら未だ間に合う。
と自分に言い聞かせながら視聴を始めた訳ですが・・・気が付いたら一気見していました。
そのくらい半端なく面白い作品だと思います。
物語は、1997年の帝国軍が京都に首都を置いている日本から始まります。
期衛軍衛士妖精学校に通う篁 唯依(たかむら ゆい)らは、学校を卒業したら軍に所属し2足歩行型戦術機の衛士になる事が決まっていました。
唯依達の役目は、万が一地球外起源種BETAが日本を襲ってきた時に国の防衛ラインを死守すること・・・
ですが、BATAは未だ日本から離れた位置を侵攻していたので、BETAの事は「対岸の火事」くらいに捉えている人が多かったようです。
危険の大きさって、その身に降りかかってみないと分からないモノですが、BETAの矛先が韓国から日本に向けられた時・・・そこからBETAが日本海を渡ってくるのに多くの時間はかかりませんでした。
予想以上に早いBETAの侵攻に戸惑う日本人・・・そして日本国土で向かい打つ事を決意した日本帝国軍でしたが・・・
BETAの圧倒的な力と数の差に押され、あっという間に戦火は首都京都にまで広がっていくんです。
唯依達学生も戦術機に搭乗できる理由で戦場に駆り出された訳ですが・・・目の前に広がっていたのは、正に地獄絵図そのものでした。
仲間が次々と殺されていきました・・・でもBETAはただ殺すだけじゃありません・・・
人を食べるんです。
引き裂かれる手足や胴体・・・引きずり出された内蔵・・・
これまで共に学生生活を送ってきた仲間が一人・・・そしてまた一人とBETAの胃袋に・・・
友人が「食べられる前に殺してっ・・・」と唯依に懇願するのですが・・・そんな簡単に仲間を撃てるはずがありません・・・
次々に都市が壊滅していく中、唯依は何とか生き延びる事ができました。
でも・・・BETAが何もかも奪っていきました。
仲間の姿とBETAへの怒りを胸に・・・物語が動いていきます。
物語の舞台は変わり2001年の国連軍のアラスカにあるユーコン基地・・・ここは各国の情報を集約し、BETA討伐技術を加速させる目的で設立された基地で、優秀なパイロットが世界中から集められ戦術試作機のテストなどを行っている場所でもあります。
京都の惨劇から4年が経過し中尉になった唯依は、日本で開発され試作戦術機の完成を目的にこのユーコン基地に赴任してきました。
そして、テストパイロットに本作品の主人公で日系アメリカ人のユウヤ・ブリッジスを指名し・・・ここから本作品が大きく動いていくのです。
この作品のジャンルは「SF、ロボ、恋愛」なのですが、それぞれのバランスが絶妙な作品だったと思います。
SF要素は地球外起源種BETAの存在です。
一口にBETAとい言っても「レーザー級」「グップラー級」「デストロイヤー級」など、異なるタイプの人外種が混成し人類の攻撃力を遥かに上回る総数で押し寄せてくるんです。
「数の暴力」とは正にこの事・・・と思いながら視聴していました。
ロボ要素は衛士の操縦する戦術機です。国ごとに設計思想が異なり、中には非情にデリケートな操作が要求される機体や、近接格闘戦や遠距離射撃が得意なタイプなど様々な機体が存在します。
ユウヤ・ブリッジスの搭乗する日本の機体は、これまで彼がアメリカで搭乗してきた機体とは全く異なるピーキーな機体でした。
これが基でユウヤや何度も唯依に食ってかかるのですが・・・
日本の機体はただピーキーな機体・・・というだけではありませんでしたけれど^^;
そして戦術機は総じてデザインが格好良い上、戦場をところ狭しと駆け抜けるので、戦闘シーンなんかは見どころが満載です。
そして恋愛ですが・・・一言で表すと「もどかしい」です。
お互いの国の立場、身分の違い・・・そもそもそういう感情がインプットされていないなど障害は確かに色々あります。
先ほどBETAによる日本の陥落状況を記載しましたが、滅ぼされた国は日本だけではなく、ユーコン基地に集まっているその殆どの国がそうだと言っても過言はありません。
肉親の・・・仲間の壮絶な最後を看取ったのは唯依だけではありません。
真っ赤な鮮血と仲間の歪む顔はきっと一生忘れられない・・・
その様な事にうつつを抜かす暇があるなら少しでも早くBETAを殲滅できる技術の確立を・・・
と思うのもゼロでは無いと思います。
でも片意地ばかりを張って生きられないのが人間・・・自分の一生懸命に応えて貰えると嬉しいし、頑張っている人の背中は応援したくなる・・・どんなに地獄を見ても人情だけは決して捨てられないのが人間の持ち味だとも思うのです。
試作戦術機のデータが増えて変わっていく様に、人もまた出会いと触れ合い方で大きく変われる事を教えてくれる作品です。
自分の気持ちに嘘の無い真っ直ぐな思い・・・これは視聴していてとても好印象でした。
BETAの侵攻により人類は破滅に向かって転がっている・・・現状の大きな流れはそうかもしれません。
でも人類はあがいて・・・抗います。
仲間を・・・約束を・・・守りたいから。
2クール全24話の作品でした。冬アニメで視聴している作品に関連しているという理由で視聴を始めましたが、すっかりハマッてしまいました。
一推しはやはり唯依かなぁ・・・普段気丈としていますが感情が隠し通せない彼女はとても魅力的でした。
クリスカとイーニャのソビエトコンビも中々・・・特にイーニャのCVは能登さんなので、余計キャラにキュンキュンしちゃったような気がします(//∇//)