どらむろ さんの感想・評価

3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

「人生の旅立ち」をテーマにしたヒューマンドラマ。紙芝居風のショートアニメ全4話

ウルトラスーパーアニメタイム枠のショートアニメ、全4話のオムニバスです。
アニメーションというより紙芝居に近く動きは悪いですが、まあこういう作風と見れば…
低予算ながら人間模様を見せてくれる物語は中々良く、特に3話は感動的。
…ネットで検索しても話題が殆どヒットしない。ドマイナーなのか…？
アニメとして過度な期待をしなければ、意外と良作です。

{netabare}『物語』
全般にちょっとほろ苦い、人生の岐路とか人同士の交流がテーマになっている感じ。
アニメではあまり見ないタイプの人生ドラマ、たまには悪くないかも。

1話は洋食屋を舞台に、ある程度人生重ねた女性と、彼女に憧れる若い青年の人生が交錯。
人生の先輩視点でのノスタルジーと、今あがいている若者それぞれの想いが交わり、中々深みのある人生ドラマでした。
…初見ではちょっと分かり難いですが、繰り返し観ると、ああ、良い人生歩んでほしいな～と思えてくるかも。

2話は性格正反対の女性2人のすれ違いを描いた苦いお話。
なんとなく「わたモテ」っぽい。
非常にリアルな人間模様で、よくいう「ケンカする程仲が良い」「雨降って地固まる」とは限らんのですね…
互いに本音で傷付け合えば、修復不可能になる事もままある。
ふたりは互いに大嫌いでありながら…互いに互いの鏡でもあったのかも。
…一見後味の悪い苦いエピソードなのですが、ラストで互いに人生の大事な事に気付ける、実はビター寄りのハッピーエンドだと見ました。

3話は本作で一番感動話。幼い少年少女のひと時の微笑ましい交流。女の子がめっさカワイイ♪
「しにがみのバラッド。」を思い出しました。モモはいませんけど。
ニコ動では動画解説であらすじネタバレされていたにも関わらず、更に上をいく意表突く構成でアッと驚いた。
そ、そうだったのか…。不覚にもジーンと涙が…。
生と死、その狭間にも、それぞれの想いはあるし、人生の旅立ちがある。
…アニメではありませんが「でろでろ」という漫画にも同様の構成のストーリーあったような。

最終4話は定年を迎えた女性教師のお話。
長年生徒達を見守り続けた彼女の人生を、桜の木と共に優しいタッチで綴る。
実は1～3話の登場人物は彼女の教え子であったという縁（エニシ）が、本作全編の総括として良い。
彼女の人生はまだこれから…彼女もまた旅立ちの時、ですね。ラブコメの波動を感じる！
…余談ですが「がっこうぐらし！」のめぐねえも、もし定年まで先生やれていたら、こういう人生もあったのではないか？
ふと、そう思えてきて切ないです（ああ～めぐねぇ～）

総じて人生模様を描くショートストーリーとして申し分のないお話でした。
1話2話が初見では分かり辛い点は難ですが、短いので何度か観返せば良い。
全4話と観易いですし、これは意外な拾い物でした。


『作画』
アニメというより半ば以上は紙芝居なのですが、まあそういう作風と割り切れば。
3話の女の子が非常に可愛いのがポイント高い。表情が活き活きしている。
止め絵連続でも要所の演出が悪くないのと、優しいタッチなのも好印象。

『声優』
ウィキ情報見つからないのですが、全般にやや素人っぽい。
でもそれが良い味を出していたと評価。
3話の女の子は「ばらかもん」で泣き虫の子供役だった子役（10歳）の遠藤璃菜ちゃん。非常に良かったです。

『音楽』
情緒的なBGMや主題歌は中々良かったです。

『キャラ』
キャラ固有名はあやふやですが、各話キャラは立っていた。
3話のゆかりちゃんが可愛かったです。
最終話の先生も中々印象的。{/netabare}