何かの部品 さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 1.5
音楽 : 4.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
苦行の先にあった…
一言:
何から書いていいかわからなくなるようなアニメ。
概要:
海沿いの田舎町、ある一つの喫茶店にたむろする学生達と、突然現れた不思議でクールな転校生。
地元で長く続いてきた友達関係が、"恋"の一文字で大きく変化していく様を描く。
単純な気持ちが複雑に交差してしまったそのグループ。
その引き金を引く事となった、オカルトな不思議な力と転校生の存在。
恋愛アニメでもない、オカルトアニメでもない、まるで夢を見せられているような、グラスリップ独特の雰囲気を最初の5分で感じられる。
総評:
作画と音楽に関しては、全話通してある一定の水準を維持している、これは評価できる点。
だからこそタチが悪い。絡めとられるように引き込まれる。
「これほど雰囲気にこだわっているアニメなのだから、何か何処かで合点がいく話が出るのではないか?待て、今の演出はギャグか?」「話を追う毎に酷くなるこの頭痛を吹き飛ばすような、衝撃の展開が訪れるのではないか?待て、今の会話はなんだ?」
このような思いをしながらも結局は観てしまう。観てしまったからこそ、苦しみながらも次を観る。
そうして観た苦行の先にあった…
{netabare}
一言:
…ナンセンスアニメ。
概要:
恵まれたアニメーションから突如としてエンカウントする静止画カット。
独特な雰囲気を早々に打ち壊すようにポップする丸窓デフォルメキャラ。
"アニメらしい会話"のテンポに慣れ切った視聴者の脳を揺らす会話の数々。
無秩序な夢を見るように必要・不必要関係なく場所・話題・人物をランダムに切り替えられ、
とどめとばかりに疑問符の浮かんだ視聴者の顔に叩き付けられるポップでキュートなエンディング。
これらに耐えて最終話に辿り着いた者に与えられる"押絵と旅する男"の文字…。
総評:
何を描きたかったのか、何がこのアニメのメインテーマだったのかが受け手次第で多様に変化する芸術的側面を持つ作品。人によってその意見が、「複数同時進行のテーマがある」、または「複数途中変化のテーマ」、「通して単一のテーマ」、「テーマはどこにも無い」、等ばらばらになっても納得が出来る。
謎や解釈の余地を残すアニメは珍しくない。「あのアニメのあのシーン、あれの考察なんだけど…」と、話もはずむものだろう。だがグラスリップに関してはそうはいかない。「グラスリップの考察なんだけど…」と全体で扱わざるをえない程の量に満ち溢れた考察余地がどうしてもそれを邪魔してしまう。
このアニメを視聴しきった暁には、誰であろうと何かしら頭の中に引っかかってしまう筈なので、話題としては優良に感じるかもしれない。
がしかし、最後までこのアニメを観た者とそうで無い者では、この筆舌に尽くし難い感覚は共有できないので、数少ない同士の間でしか話題にはならない。
だからと言って視聴者を増やそうと、「最後まで絶対に観るように」と円盤を勧めるのもなんとも心苦しい作品である。
{/netabare}