にゃっき♪ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
fly me to the moon
近未来の宇宙が舞台のSci-Fiドラマですがロボットアニメではありません。
リアリズムを徹底する事で、決して夢物語ではないと思わせる説得力があり、技術がどんなに進歩しても、人と人との関係は変わらない事を教えてくれる作品だと感じました。
前半は、スペースデブリと呼ばれる宇宙のゴミ拾いを仕事にするサラリーマンの短編構成の職業系群像劇ですが、後半になると先進国の利益独占による格差社会の問題やテロリストの暗躍など、宇宙開発に潜む影の部分にも踏み込んだ重厚なヒューマンドラマとなっていて、メリハリをつける事で作品世界に深みを持たせることに成功していると思います。
ただ敬遠されるとしたらキャラ設定ではないでしょうか。
まず「愛」を連呼するヒロインのタナベが前半はかなり鬱陶しいです。
軍事衛星の軌道上の平和目的のプレートを除去する最初の仕事で、いきなり戦争は悪という理由で仕事を拒否しますし、業務命令で遺書を書くときも他人の問題に深く干渉します。辞表の提出を促されるのを覚悟しなければいけないレベルの職務規程違反を犯しても、結果的にうまく事が運んでしまうご都合主義には、私もうんざりさせられました。
後半になるとタナベの代わりにハチマキが周りを省みないキャラになってたりします。好きでつきあうことになった相手に、説明も相談もせずに夢を実現するための試験に参加し、冷たくあしらうばかりか、心配する友人にも逆ギレする始末です。
キャラ設定自体が原作とは大きく異なっているようですし、イライラさせられる事も少なくないとは思いますが、どうか結論を急がずに広く暖かい心で見守ってあげて欲しいです。あまりに寒いギャグに私も序盤で挫折しそうになりましたが、完走すれば誰もがきっと心に残る作品になると思いますので^^