鸐 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
圧巻の美術
「君の名は。」を機に過去作品を見返しているのですが、全開よりも肯定的にとらえられるようになったので、追記します。
まず、前回観たのは2013年ころ。
未熟な感性に排他的な思想を持っていたころでした。
その頃の評価はこうです。
盛り上がりどころに欠け、背景だけが優れた映画、と。
男子高校生が5つ以上年の離れた女性に恋をする気持ちや、
女性の男子高校生を心のよりどころにしながら、社会性を気にして突き放す態度が気に入らなかったですし、その後なぜ追いかけたのかも意味が分からず、さらに、男子高校生が裸足で追いかけてきた女性を怒り、なんでこの状況でそんなに騒いでいるのか…全く理解が出来ませんでした。
そして3年経ち、放送中の深夜アニメや夕方の枠を飛び越えて沢山の作品を観るようになりました。様々な人とも関わるようになり、世の中にはこのような人もいるのだろう。と割り切りが出来るようになりました。
未だに裸足で追いかけてきた女性を男子高校生が罵るシーンは違和感を感じますが、画面を観て、その造りや登場人物の心の変化を考えるようになり、意識してみるととても最初に感じた退屈な映画とは思えません。
「君の名は。」を拝見して前作からだいぶ進化したなあ。と感じましたが、前作を改めて観ることで感じ方の変わった自分を振り返り、自分も成長したなあと思えることがとてもうれしく思いました。
背景については、今までの新海作品で最も美しいと思います。
舗装路の水溜まりや池の映り込みに、水を受けて輝く葉、彩度の高い反射光、とてもリアルでリアルよりも美しい世界がここにはあります。
この世界の梅雨はきっと、ジメジメしておらず爽やかな風が流れるのでしょうね。
良い作品でした。