norimeru さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一言でレビューするなら、「高校生ゾンビアニメ」です。
ゾンビはもともと「リビングデッド」とか言われていて、かなり前から存在していたのですが、メジャーになったのは1980年頃の映画「ゾンビ(ロメロ監督:原題はドーン・オブ・ザ・デッド)」から。
このころのゾンビは身動きが遅く、習慣で昔(生前)と同じような動きはするけれど、走り回ったりはしませんでした。
数年前に「ドーン・オブ・ザ・デッド」としてリメイクされて、走り回るようになったと思ったら、「ランド・オブ・ザ・デッド」では学習能力を持って集団的に襲いかかるようになりました。
ですから、「高校生黙示録 ハイスクール・オブ・ザ・デッド」の名前通り、ロメロ監督のゾンビを意識しているのだと思います。
でもって、この作品で「奴ら」は、噛みついて感染、動きゆっくり、聴覚だけは残っていて、水中はダメダメ。
作品中での呼称は「奴ら」ですが、典型的ゾンビの様子です。
物語は、校内に入ってこようとする不審者が教師に噛みついて惨劇が始まります。
どうして発生するのか(しかもパンデミックに)、返り血を浴びても大丈夫なのに噛まれたらすぐ発症、というのは謎です。
しかしながら、そのあたりは深く追求せず、生者がいかにして生き延びるか、また、人間同士の争いや葛藤をどう描くかが、作品のメインとなるところなのでしょう。
孝は普通の学生ですが、次第にリーダーとして認められていく主人公。
軍事オタクのコータは平時ならぱっとしないキャラなのですが、サバイバルにおいては別、非常に重宝です。
男子2人のグループ内での関係は良好で、物語としては少し物足りなくもありますが、ドロドロしなくてよかったとも言えます。
1年留年させられたことなどからぎくしゃくした孝との関係が、戦いの中好転していく麗。
豊富な知識を持って、的確な分析をする沙耶。
沙耶はコータに好意を持ちつつあるようです。
冴子さんは剣の達人でありながら、心に闇を持っていて、孝にそれを打ち明けることで惹かれていった様子。
3人のヒロイン(+校医の静香さん)、それぞれ魅力的に描かれていました。
有り余るパンチラとか胸を揺らすサービスシーンなどは、これほどなくてもよいとは思いましたが。
敵対する側は、マイクロバスの紫原先生の一行。
紫原は結局腹黒い奴で、作品中では麗との因縁だけが特に強く取り上げられていました。
高城家から追い出された後、バスが事故ってましたがどうなったのでしょう。
ゾンビとの戦いやサバイバルだけでなく、グループ同士の対立軸をもう少し描けば、お話しがもう一段面白くなったかなとも思います。
物語は、これからまた別の場所へというところで終了し、中途半端なようですが、ゾンビ映画のエンディングはこれでもありかも。
(原作も中断しているらしいですしね。)
ということで、ゾンビ作品としてそれなりに評価できる作品ではありました。
難を言えば、主人公が高校生である以外、既存のゾンビ映画の枠を超えきれなかったところでしょうか。
印象に残ったのは、冴子さんの「濡れる!」だったかも。