「ちはやふる(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
4135
棚に入れた
18830
ランキング
42
★★★★★ 4.1 (4135)
物語
4.4
作画
4.1
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

千早が主人公なので減点したけど、本当の物語は一度カルタを諦めた人にある

誰もが知っている百人一首の“競技カルタ”にかける、男女高校生たちの感動サクセスストーリー。坊主めくりしか遊んだことのない自分には新鮮でした。大会の詳細を知るほどに、うわっ! え?! そんなに!! て。

一日に5,6試合もやるとか、それが都合で10時間にもなるとか、昼飯のぞいて、15分くらいしか休憩挟まないとか。その間、記憶させっぱなしの脳みそフル回転させっぱなしだとか、将棋や囲碁の名人戦と同じくらいの疲労度が普通にありそうです。2,3キロ体重が落ちてそうですね。しかも、みんな尋常じゃない汗を流してます。なのに不思議とペットボトルとか携帯してる様子はないし、ルールで禁止されてるのかな?

エアコンなし、窓を閉め切っての大会とかサウナか蒸し風呂で地獄なのは想定できるし、健康配慮が前提のいまの時代と完全に逆いってますよね(笑)かなりの、どSでどMな競技だなと。

以下ネタバレです。
あんまいいこと書いてません! 千早は嫌いなんでw ファンの方にはすみません。
でも、太一と肉まんくんと机くんと大江さんはファンです♪

{netabare}
さて、ここから作品の個人的なレビューになりますが、正直、主人公でヒロインの千早にいい感情がもてませんでした。

みんなを引っ張る有言実行のチームリーダー! カルタが好きで強くなりたくたまらなくて、365日それだけ考えていられるならそうしたい熱血カルタ馬鹿。音の感はよくて天才肌で、未来のクイーン候補レベル。

ただ、猪突猛進の前のめりで勢い重視。周囲への気配りがまったくできなくて、感謝してるっぽいけど、その気持ちの伝え方が普通の人とは違うんですよね。ややもすると、本当に感謝してる?と邪推したくなる感じ。

千早は止まらない。
止まっていないし休憩もしないし、常に戦闘態勢で前進している。
だからホット一息つく間もなくて、普通なら立ち止まってまわりを見渡す余裕がにようにも見える。

仲間との絆を確認したり、ときにぶつかっても修復してより関係を深めたりもするんだけど、この作品は常に前進あるのみ、大会だなんだイベントが詰め込まれてて飽きることなく見れて楽しいのだけど、自分には深みが感じられないんです。

誰もが千早からパワーをもらって引っ張ってもらっている。めげたとき、しょげたとき、泣きたくなるとき、言葉ではなくて、前進する千早の姿に胸うたれて励まされている。
あいつが頑張ってるんだから、自分もここで立ち止まるわけには~て感じでしょうか。

それが毎回パターン化してくだけに、個人的ですが、千早の存在は競技カルタをしているみんなの憧れの存在であって、本当の仲間意識、友情があるのかなって思うことがチラホラ。(あまりにレベルが違うから仕方ないんでしょうけど)

結局、作品でも何度もいわれてるテーマだけど個人なのか団体なのかっていうところなんでしょう。団体戦だけど個人戦やってるのか、個人戦なんだけど団体戦なのか。

単に仲間がいれば心強いとかいう話しじゃなくて、誰かのために戦える方が強いとかいう話しでもない。
全国、全日本クラスの場で戦う人たちであれば、それはもう当たり前の話でしょうし。

<諦めた人の方がおもしろい>

それだけに、太一と肉まんくんの関係であるとか、机君と大江さんの関係にほっとするシーンが多いように思えます。

A級昇進をかけた太一と肉まんくんの勝負の後で、落ち込む太一に肉まんくんがこれからも一緒にやっていこうと声をかけるシーンはよかった。お前が部長でよかった、とかもですね。気遣いができる子はえらい。

机君が捨て駒扱いをされて悔しくて団体戦から帰宅宣言した後、大江さんがフォローして帯を締めなおすシーンもよかった。
「みんなここにいる人は畳の上で何年も正座してきたって。私たちもタコができるまでがんばりましょうよ」 じーーんときましたね~。

で、そのとき千早は??? て思いませんか?
キャプテンを自称してるけど、何してるんだろかと。机くんにしても無理矢理部に引き入れたのは千早でしょう。なのにフォローもしないでほったらかしってあり得ないでしょと。

そこで気がつくんです。このアニメがおもしろい、好きだなって思うシーンのほとんどが千早以外の人たちのシーンだと。それは一度カルタを諦めた太一であったり肉まんくんであったり、カルタはこれからだけどがんばっている机くんや大江さんであると。つまり、この作品では、一度カルタを諦めた人や挫折を覚えた人、敗者こそが美しい青春してるなって。

千早をフォローしまくる太一ですが、あんまりな扱いだと誰でも思うでしょう。で、そんな太一のフォローは誰がしてくれてるのか。ここでも千早のフォローらしきものってあまりなくて、印象に残っているのは原田師匠との関係が多いんですよね。

例えば、大会で二連続準優勝を果たした太一に、カルタ同行会の規定ではNGだけど、悲願のA級昇進を認めてあげようとする原田師匠の優しさ。
「悔しさの賞味期限は長くないんだよ」と、フォローすべきタイミングがあるし、気遣うことは大事だと押しえてくれます。
でも、太一は決断するんですよね。「A級になるより、逃げたくない」と。
あああああ、青春してるわぁ~。

とりま、千早にはがっかりすることが多いんです。たしかにスゴイし、みんなが認めてるけど、あの天才小学生の立川リリカちゃんと変わらないなって。勝負ばかり目がいっている気がしてなりません。

だからゆーみんに負けても礼をせずに試合を終えるとか大失態レベルの行動をしている。ゆーみんは元クイーンですからね。カルタ界でいえば最も尊敬すべき人のひとりなんです。いまがどうあれ、モチベーションがどうあれ、敬うべき相手に対して思い上がりの上から目線でいられるのが普通は信じられないかな。

カルタが伝統文化がベースの競技であるということは、相撲や剣道、柔道と同じで、礼はとても大事な要素で品格が求められます。作者さんにはそこをしっかりと踏まえて欲しいかな。そうでないと、これまでカルタ競技をまもってきた人々にとっても失礼になるかなと。

ただ、もっとがっかりしたのは、この試合の後なんですよね。すごくちょっとしたことなんですけど、観戦にまわったところで冷え込む寒さをきにかけた太一から上着をもらってもありがとうの一言もいわないんですよねw 夫婦か! て感じで気にならない人にはどうでもいいんでしょうけど、あえて描かれていることから、自分にはこれも千早の性格描写なんだろうって思いました。

千早って家では姉の影に隠れて育った日影の花的人生で、人の優しさには敏感なはずだと思っていたんですけど、こーいうシーンばかりを見ているとただの鈍感な女の子なのかなと思ったりして~。

逆にいいなと思ったのは、相手を重んじて敬う礼のあるシーンでした。

ひとつは原田先生。
白波エースの坪なんとかさんが名人への挑戦権をかけた一番で関西代表に負けた後、感想戦では強気な顔をしていたのに、原田師匠を見たとたんに泣いてすがったシーンには、師匠と弟子の絆を感じましたね。長くがんばってきたんですもん。負けても強気でいたいけど、そうできない人がいるってことで~。

もうひとつは、慣れない着物での試合が少しでも楽になればと顧問の先生がたすきを用意してくれて、みんなで深々とおじぎをして礼をするシーン。こーいう気遣いは本当に身近で経験あることで、すごくうれしいもんですよね。自分の学生時代を思い出します。

まぁ、あれこれ書いてても終わらないんで、1期の感想はここまでで終わりにします(笑)
{/netabare}

投稿 : 2016/04/26
閲覧 : 408
サンキュー:

7

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