ポッチャマン さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:----
万人受けしないからこその傑作映画だとおもう。
胸に何かぼわーっと淡いものが残る……
今までアニメ映画もいろいろ見ましたけど、かなり特殊なもので、味わったことのない感情を体験したので、一応。初映画レビューです。
前に初めて観たとき、全体的にぼんやりと淡い気持ちと美しい描写を覚えていて、でも何か、腑に落ちないとこもあって、変な作品だなって思ってたら、時々、最後に流れた山崎まさよしの歌とピアノのメロディが頭ん中で流れるようになって、また観ようと思ってた作品。
そう思ってた矢先にNHKでやってたのを録ってたので、観てみました。
そんで、見終わったらまた自分の中で評価が変わった。
まず、三部作だったからわかりにくかったけど、一話目は主人公 貴樹が過去を振り返って、あるいは二部目では、また違う目線で、ナレーション込みで進んでいく形式なこと。珍しいかはわからないけど、この構成だけでもこの作品が特殊な要因の一つになっていると思う。第一部 《桜花抄》では貴樹と明里、いや、ほとんど貴樹の心理的目線から進んでいき、手紙を片手に、あの日の電話で励ましてあげられなかったことを後悔しながら、電車で明里に会いに行く。第二部《コスモナウト》では貴樹より完全に花苗目線で、初恋のドキドキを与えてくれながらも葛藤する様子が描かれる。
ただただ進むんじゃなくて、声優さんの息づかいや、コマ割りの丁寧な間隔と余韻がかなり秀逸。そのおかげで貴樹の感情描写を伝えやすくしてると思う。先に書いた、ピアノのメロディーは『想い出は遠くの日々』が特に良く、淡い悲しさ、切なさが揺らいでいるかのような旋律で、今でも聴くと鳥肌が出ます(いやマジで!)
全体のストーリーは {netabare} 小学生の頃の初恋を忘れられない貴樹の回想から、言ってしまえば高校(第二部)、社会人(第三部)になっても引きずっていく話。(意外とわかる気がする)ただ、僕個人的には二部の花苗が貴樹の変わった雰囲気の理由に気づくとこはあまりにも、あっけなく感じて辛かったかな。第三部は怒涛の勢いで歌に合わせて流れていくので、最後の終わり方は人によっていろんなとらえ方があって、ここが名作と呼べるところだと思います。{/netabare}
観終わったあとの不思議な感覚と切なさに酔いしれてみてはいかがでしょうか。