PかっこA さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
三周はした。最高でした。
今まで見たアニメの中で最上の部類に入ります。このアニメの魅力は作中のこの言葉に全て詰まっていると思います。
「世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら…」
1話、物語の中心たる草薙素子がテロ犯人に掛けた言葉です。まず私はこの言葉に頭をぶん殴られ、怒りを覚えると同時に惹かれざるを得なくなりました。視聴者側に投げ掛けられた言葉だと思ったからです。こちらとしては「ならお前はどうなんだよ…」となるわけです。
こういった少佐の論法はともすれば怪しげな自己啓発セミナーの先生とか、所謂戦後左翼的なニューエイジ思想に呪われた革命論者が使いそうです。が、この作中においてはこんなことを言う草薙素子以下、主人公陣営はまさかの体制側で、その矛盾から彼等は取り上えず負けに負けています。
有りがちなプロットならこの主人公陣営は革命戦士(?)であり社会に鉄槌を、となるわけですが。
そういった意味で矛盾の中に生きる彼等の行動や言葉は、たまに自嘲的で、そのメタ視点からの自虐が私にはとても心地よかったです。
そして、そんな風に心地よい言葉の応酬に身を任せているとこんな言葉
「どんな娯楽も基本的には一過性のものだし、またそうあるべきだわ。」
とか言われて、爆笑してしまうわけです。「TVの前のお前だよ」と言われているようで、その時高尚なこと考えているような顔をしている自分が鏡に写ったようで。
率直、辛辣それでいて自嘲的。つまりなんとも食えないアニメであるということです。出会えて良かったです。