にゃっき♪ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
young wings can fly higher than we know
笑いあり涙ありの青春学園ラブコメです。
物語前半は本格的ににドタバタラブコメの展開で、とても楽しませてもらいました。
中盤の川島亜美の転入あたりから、徐々に青春ものに展開が変化して、それぞれの想いに気がついたキャラたちの苦悩と成長を描く方向にシフトしていきます。
ほとんどのアニメのキャラは見た目どおりの性格でわかりやすいわけですが、この作品はあえて違った性格を設定したうえに、強がったり、周囲を思いやって安易に本音を言わせない事で、感情移入がしやすく説得力のある人間ドラマとして成功しているように感じました。
目つきが悪く外見で周囲から怖がられている主人公の高須竜児は、実は温厚な性格で掃除好きの料理上手です。ちっちゃくて見た目は可憐な美少女のメインヒロインである逢坂大河は、木刀を振り回す凶暴な性格で、身の回りのことさえ自分では何もやろうとしません。突拍子もない言動もありますが、大河の親友で、元気で明るいクラスの人気者のソフトボール娘の櫛枝実乃梨は部活とアルバイトに明け暮れ、転校生として登場する女優の娘でスタイル抜群の美人モデルの川島亜美は、猫かぶりの達人だったりします。竜児の友人の北村祐作や生徒会長の狩野すみれなど脇を固めるサブキャラにいたるまで、丁寧に描かれた人間味溢れるキャラばかりなので、お気に入りのキャラを探すのにここまで困らない作品も珍しいかと思われます。
最初からラストまで学習も進歩もないキャラが当たり前の作品の多いなかで、この作品はひと味違っています。たとえば大河が自分の家族とのあり方を見つめ直そうとするエピソードがありますが、竜児の生い立ちに始まる母親の泰子とその両親のトラブルと和解を見て、自分自身も家族と正面から向きあう決心をする大河の描き方は、家族のあり方を視聴者にも考えてもらう見せ方として素晴らしかったと思います。
ラストの展開があまりにも唐突なうえ、友人のことを優先してひたむきに行動する少女たちが魅力的なので、3人の少女たちの誰にいちばん共感できるかで、物語終盤の印象もかなり変わってしまうようにも思えますが、等身大の青春を描ききった傑出した作品であることに間違いはなく、誰にでもお薦めしたいと思います。