どらむろ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
技術系の学園で半沢直樹!?詰め込みすぎな感はあるものの、終盤のカタルシスが凄い意欲作
「WHITE ALBUM2」「冴えない彼女の育て方」で知られる丸戸史明さんが脚本を手掛けた全13話のオリジナルアニメです。
宇宙開発で火星に人が住む時代、大企業傘下の技術者の学園を舞台に、技術開発にかける青春、学園コメディーにラブコメ…かと思いきや企業内闘争にビジネス物や政治劇を絡めた独特な作風。
様々な要素を詰め込み過ぎて前半戸惑うのが難ですが、後半は見応えがある意欲作でもあり。
「学園青春物」「ラブコメ」としては期待薄、後半の主人公の壮絶なドラマが熱かったです。
…最初から「ナギサの物語」として見ると楽しみやすいかも。
また、あくまで「ライトノベル的な娯楽作品」と割り切った方が楽しめます。
{netabare}『物語』
学生たちが、企業に勤めながら、学園祭のノリで先端技術開発に青春を捧げる。
そこに経営者一族の天才少年ナギサが派遣されて(会社は学園をお荷物と見ている)のでブッ潰す…!?
…「技術者たちの学園青春ドラマ」という珍しいジャンル、青春やりつつ、企業内の駆け引きや抗争劇も交えて、ナギサとヒロイン達が交流していくのかな?
と思いきや…
1話からナギサと学園の破天荒な活躍で驚かせてくれるものの、以降は「企業内で学園祭のノリ」がまかり通るユルいんだが熱いんだか判断に迷いつつ、ナギサの思惑を少しずつ見せつつ、何となく話が進んでいく。
「才能豊かな少年少女たちが企業の設備と資金フルに使って、凄いモノ作っていく」ここら辺かなりツッコミ所あるものの、フィクションとしては面白い。
…社会常識に反する諸々のツッコミ所をどの程度許容できるか?がまず本作のネックか。
ここら辺は企業ドラマと学生ドラマの食い合わせに違和感あり、舞台を大学辺りにしていれば良かったような気はしますが…私的にはアリと見ます(ここらを甘く見る主義)
では学園物として見ると…
ダブルヒロインのミズキとイリスが可愛い以外は、個々の交流や掘り下げが薄め。
話の軸が中々定まらない感じも、視聴中戸惑いが多かった。
それでもテンポは良く、軽妙なノリで話が進むので、深く考えなければ、そこそこ観れる。
ミズキとイリスの百合(とまではいかないが良い関係)、終盤のラブコメの波動も良い感じながら、やや掘り下げが足りず残念。
…中盤以降、話の軸がナギサによる企業内権力闘争や政治劇、そして復讐劇に。
アニメでは珍しい展開で中々興味深かったです。
ここもツッコミ所はありますが、まぁラノベ的なエンタメとして大目に見れば。
ナギサのドラマが見応えあり。
ただ…ヒロインズ含めた学園メンバーは完全に別世界、置いてけぼりになるのは仕方がないとはいえ、前半の学園祭のノリと違い過ぎてやはり戸惑いが…。
後半の復讐劇のインパクトが凄い。
凄いんですが…暗い。
終盤のドンデン返し、学生たちの1話以来の総力戦での大逆転劇のカタルシスが素晴らしい!
大人の汚い企業の横暴、軍事利用の悪夢に、若者たちの技術魂が夢と情熱で打ち勝つ!
これは技術者の学生ドラマ大爆発、中盤の陰鬱さを一気に吹き飛ばす爽快感あり。
舞台が宇宙時代のSFである醍醐味として、宇宙船のアクションシーンも盛り上がった。
ナギサと学生たちの交流が、前半不器用ながら描かれてきたのが効いている構成も活きた。
初期の冷徹な企業家に見えたナギサが徐々にデレていく過程、若い情熱に飲み込まれていく感じも良い。
総じて全編通してナギサのドラマとして見ると良く纏まっていて、終始飽きさせず、最終的に盛り上がるので好印象でしたが、初見だとそこに気付き難かったのが惜しいです。
舞台がSFの意味とか、最後まで観てようやく実感する。
多少の粗さはエンタメとしては許容範囲。
学園ドラマとラブコメ面で弱いのが物足りないものの、そこはヒロイン(特にミズキ)の人柄がカバーしてくれていた感。
…色々と惜しい面あり評価に迷いますが、ユニークな題材でドラマとして十分な見応えあり、捨てるには惜しい力作でした。
初見は難ありでしたが、2周目(再放送されてた)視聴したら、初回よりも評価好転してました。
4点か3.5か非常に迷うところ。
『作画』
キャラデザを「俺妹」の人と「デートアライブ」の人が担当、女性陣が安定して可愛いです。
地味ながらミズキもイリスもかなり好み。
SFとしても宇宙時代を活かした描写やアクションが良い感じ。
『声優』
ナギサ役の内田雄馬さん、孤高になりきれない感じのふり幅良い感じでした。
ミズキの小澤亜李さん、イリスの雨宮天さんも、派手さはありませんが好演。特に小澤さんはミズキの魅力引き出していた。
熱血馬鹿な瀬良カイトの森久保祥太郎さんの珍しい熱演も。
アンジェリーナ先生、小林ゆうさんはまり役でした。
高評価なのはユウジ兄さんの吉野裕行さんの小物キチガイっぷりが神がかっていたのと、ラスボスの井上和彦さんの貫禄が凄かったので。
終盤の盛り上がりはこのお二方の好演が大きく、圧巻です。
会社上層部も何気に大物声優の貫禄が。
『音楽』
OP「コバルト」が歌詞もメロディーも親しみ易く独特なサビが印象的な良曲で、歌詞もナギサのテーマに合致している。
ED「アネモネ」もヒロインズの心情的に良い感じ。
『キャラ』
学生にして大企業創業家の一族、チート級の有能だが虐げられている、秘めた野望等々、ラノベ主人公としてかなり理想的な要素を持ったナギサが終始ドラマの中心に。
デレていく可愛げも良い感じ。
ミズキは容姿も性格も非常に可愛い。ダメ兄や、有能に見えて実は危ういナギサを笑顔を絶やさず支え続けた天使。
惜しむらくは話の都合上、地味になりがちに…。
地味に名ヒロインなんですよねぇ。
イリスは綾波系美少女。過去トラウマでピンチに陥る、過去の素性などドラマ的にはメインヒロインの器であったが、惜しむらくは話の都合上~略
もう一人。大人の女性ながらナギサ様への忠誠心厚い花子もといアンジェリーナ先生の魅力も高かった。
破天荒なニンジャの一面と、大人ならではの度量が良い感じ。
瀬良カイトも好感が持てる熱血馬鹿であったが話の都合上…
終盤の切り札だけど、妹たちにお膳立てされてた感が。
馬鹿だけど大企業の汚い陰謀を一蹴する情熱は熱かった。
ユウジ兄さんの小物っぷりは素晴らしいw
面白すぎる男なんですが…中盤の不愉快さはまぁドラマの過程なので。
カズヒサ兄さんのラスボス臭はハンパ無かった。
恐るべき実力者であったが…最終的には格が下がっちゃったのは残念。
A-TECの学生たちは一芸に秀でた天才肌多く個性はありましたが、話の展開上モブに近いのが残念。{/netabare}