Progress さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
エレンは英雄になれるのか?
あらすじはどこかを参考に…
なんか凄く有名になったアニメです。このアニメは普段アニメを見ないような人でも見た!という印象がありまして、少しレビューしづらい部分があります。
なので、ここはキャラクターを少し掘り下げたレビューを書いて、あまり社会的な考察を触れないようにします。
{netabare}
私が興味を持ったのは主人公、エレン・イェーガー。彼は子供時代も訓練生時代も調査兵団を馬鹿にされると瞬間湯沸し器の如く怒ります。
彼の調査兵団への思い入れは彼の成長と共に変化していきます。では子供の頃から振り返ってみましょう。
彼は少年時代、ミカサと共に調査兵団の帰還を見に行きます。この時、彼は調査兵団を「巨人と戦う英雄達」のように英雄視しています。逆に巨人と戦わずのうのうと暮らす人達を「家畜」のようじゃないかと軽蔑しています。
この時の「何の成果も得られませんでした!」という団長の謝罪の重みを、少年時代のエレンは理解出来ず、調査兵団入団後に気づくことになります。
まだ幼いエレンは犠牲を払っているのが、調査兵団だけではないことに気づけないのです。
では次にウォールマリア陥落以降のエレンについて考えて行きましょう。
ウォールマリア陥落時に母親を巨人に殺されたエレンは「駆逐してやる!」という名台詞のもと、巨人をやっつける事を決意します。ここで、調査兵団はエレンにとって、英雄の集まりという理想、尊敬する集団という存在から、自分の仇討ちという目的のために入るべき組織になります。
ここで重要だと思われるのは、彼はまだ、復讐心に囚われて行動方針を決めています。つまり、いざというときに、団長達のように、感情を切り捨てて全体を優先できる人間ではないのです。
それを証明するかのように、訓練生時代も、感情に身を任せ喧嘩をする事がたえません。
では次は、エレンが調査兵団に入団して初の壁外調査 、その帰還時です。
エレンは傷を負って馬車のなか、町のなかにはいると多くの民衆が待ち構えています。そこで民衆の中から調査兵団を馬鹿にするような言葉が出てくるのを聞き、エレンは幼少期と同じく、民衆に怒鳴り付けようとします。しかしそのとき、民衆の中から、兵長の部下の父親が現れ、平静を装いながら、娘がどうなったか兵長に聞くのです。その部下は死んでいるので、やたら明るく装っている父親に対して何も言えない兵長、団長、エレン。この時エレンは初めて、調査兵団が市民に犠牲を強いていることにきづくのです。娘を心配する親にエレンは「俺達を馬鹿にするな」とは言えず、ただ青い顔です。ここで、きらきらと目を輝かせながら「調査兵団かっけえ!」と子供エレンさながらの少年を見てさらに、エレンの心は打ち砕かれます。何の成果も得られず、ただ犠牲を出した自分達がかっこいい?
子供達の理想への裏切りは幼少期からのエレンの調査兵団への理想を完全に破壊されました。
そして、家畜のようだと馬鹿にしていた壁の中の人達に顔向け出来ない自分達は、家畜以下であることも同時に思ったのではないでしょうか。ここで、エレンは壁の中にいる人達を馬鹿にする事がいかに浅はかだったかきづくのです。
この後、エレンは訓練生時代の仲間を巨人と疑うことを通して、自分の仲間への感情と、たとえ昔の仲間であったとしても、巨人は全部倒すという自分の目的との間で葛藤します。エレンはこの時、自分の友人への感情をないがしろにしても、敵討ちの感情で巨人を倒す事が選んだのです。エレンの行動原理は憎しみや怒りの感情からくるものというのがよく現れています。
ただそこに使命感があれば団長な兵長のようなでっかい男にもなれるのでしょうが。やはり、アニメの中ではエレンは感情に支配され過ぎていて、まだまだ発展途上ですね。
このように、エレンはだんだんと大人になっていくのがわかります。
まだまだ、彼ののびしろはあると思います。団長や兵長のように、どんな個人的思い入れも切り捨て、冷静に犠牲を最小限に抑える選択を出来るようになるでしょうか?
そして、巨人を全て倒し、子供時代のエレンが調査兵団を英雄のように憧れたように、本当に英雄になれるでしょうか?
完結が待ち遠しいですね。
ちょっと話の把握内容に誤差があったので修正しました。
{/netabare}