101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
霧の艦隊との刺激的な概念伝達
原作コミックは未読。
あにこれでは、棚を整理しているとにゅにゅが、
このアニメもおすすめにゅ~♪と迫ってきますw
その中で推薦が頻繁かつ、個人的に異質で、
一体なぜ観てね♪と言われているのか、よく分からなかったのが本作。
私は旧日本軍の連合艦隊にそれほど時めく武士でもありません。
船やお城や日本刀がイケメン、萌えキャラ化して、嬉しい人でもないです。
むしろあらゆる物体が女体化する昨今の風潮には
あんまし、馴染めない方です(苦笑)
それでも視聴を勧められるのは何か理由があるのだろう?
半信半疑で何気なく観始めましたが、当たりでした。
この作品、セリフが個人的にツボでした。
美少女の姿をした霧の艦隊のメンタルモデルや人間と
数回会話を交わす頃には、もう虜になっていました。
人間的思考を持たない、もしくは別の価値観を有する。
こうした機械生命体の類が、人の思考を知り、愛を知る。
その過程のぎこちなさで、萌えポイントを稼いだりもする。
恐らく本作もこうしたテンプレートに乗せた作品だと思われます。
が、本作の場合は人間的思考について、
膨大なパターンの思索と相対化が成されています。
そしてその考察の成果がセリフとなって滲み出てきて、
私を惹き付けるのです。
例えば、{netabare}瞬時に情報を共有できるメンタルモデルの“概念伝達”に比べ、
圧倒的に非効率的な“言語”という人間の情報伝達手段について。
例えば、肉体という限界を有した故に、いや、だからこそ、
創造された“戦術"という人間の戦い方について。
例えば、“後悔”について……。{/netabare}
本作は、ちょっと機械娘が空気を読めないシーンを演出して、
萌えを提供できたと満足感に浸る、浅い作品ではありません。
メンタルモデルが、座ってお茶をすすりながら談笑する、
人間の習慣を模倣しながら、指摘する人間の思考法の不思議は、
人類の私にも大いに刺激を与えるものばかりでした。
機械や兵器が人間的思考に目覚めると言うと、
大体『ターミネーター』のごとく、最初はコンピュータの類いなど、
人に管理されるべきもの、と下に見る所から、下克上されるもの。
そこを本作は、原作者の連合艦隊への敬愛もあったのか、
いきなり、人類を凌駕する技術を有した霧の艦隊として登場させてきました。
この設定は近未来に艦隊戦を強引に実現するための方便とも取れます。
でも、本作の場合は人とメンタルモデルの対等以上のコミュニケーションという、
有用な産物をもたらしたようです。
好きなキャラはタカオ。
{netabare}ごつい重巡洋艦がデレる過程もまたテンプレートですが、
人間的思考について考え抜かれた上での彼女の言動には、
艦隊のメンタルモデルながら、確かに“愛"が感じられました。
尊氏としても、是非タカオのオプションに成り上がりたい所です♪
……スペック全然足りてませんがw(苦笑){/netabare}
個人的に時めいたのはイオナと{netabare} ヒトデ(笑)
私の中では、ヒトデと言えば未だに『CLANNAD』の風子ですが、
潜水艦にもヒトデとコラボレーションできる萌えキャラがいて、
何か嬉しかったです♪{/netabare}
弾幕が激しいバトルアニメや萌えアニメとしても満喫できましたが、
私はむしろ『楽園追放』や『シドニアの騎士』等共にSFアニメとしても語りたい良作。
それを勧めてくるとは、にゅにゅ。お主もなかなかやりおるわい。