「落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)(TVアニメ動画)」

総合得点
74.4
感想・評価
1376
棚に入れた
7459
ランキング
905
★★★★☆ 3.6 (1376)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ラノベ原作のテンプレな異能バトルハーレム…の王道を貫きつつ超えた力作!

ライトノベルが原作、主人公が異能バトルで試合してランキングを競う、美少女もたくさん等々、無数の類似作品があるテンプレ作品…
ではあるのですが。
ストイックに強さ求める真摯さ、2015年度トップクラス(ワンパンマンよりこちらを推す)の戦闘シーン、丁寧な心理描写、直球素直なエロ等々、テンプレ王道も魅せ方次第ではここまで昇華出来るものか…!

ストレスフリーや、単純な萌えという意味では不向きな面あり。
そこ以外に期待するならば、このジャンルの諸作品中では現時点では最高傑作かも。

{netabare} 『物語』
落第騎士のきゃばるりぃ…?ふん、どうせまた量産型ラノベのテンプレ企画…
異能バトル…主人公落ちこぼれ設定…ヒロインはデレる…ランキング制の試合…
平凡…!実に面白味の無いテンプレアニメ…ゴミ手…だが…!
このゴミテンプレがエピソードを重ねるうちにみるみる変貌…!
(中間管理職トネガワ風に。いや本作に対して黒服みたいな気持ちでした)

いや、正直ナメてました。まーたテンプレラノベ枠かよ同期のアスタなんとかと区別付かんよ…
でも。偏見や先入観はダメですね…真摯に作られた作品はテンプレであっても力作になり得る。
主人公の父も視聴者も散々お前はダメだとレッテル張ってきた…しかし!
落第騎士の英雄譚、その限界を超えたきた。見事!


基礎となる作風というかメソッドは過去散々繰り返されてきた王道テンプレそのもの。
「落ちこぼれ(という設定)の主人公が、異能バトル大会でのしていく。その過程で美少女ハーレムあり」
類似作品だと「機巧少女(マシンドール)は傷つかない」が大体そんな感じだった。
落ちこぼれ設定はなくとも、「異能バトル大会の繰り返し」ならばもっと多い。
なんだろう?80年代90年代の少年ジャンプがやたら天下一武道会展開に移行するように、近年ラノベのこの方式(バトル大会の繰り返し)は話書き易いのかな~?

…さて、本作は百凡の類似作品と一線を画している点がいくつもあり。
いくつもあるのですが。一つだけ挙げるならば、それは「真摯さ」です。
まさに「一刀修羅」は伊達では無かった。
全編通してストイックに己を磨き強敵と渡り合う、求道者的な真剣さがハンパ無いです。
バトル試合形式のラノベ作品が氾濫する中で、本作程に真摯にバトルに取り組む作品は無し。
本作はハーレム物に見せて、実は「スポコン」に近い印象を受ける。
題材こそ異能バトルですが、作風は意外やスポーツ系に通じる。
例えば、卑劣な敵の罠を受けても、正々堂々と戦いブチ破る。
ヒロインの一人が邪道であっても、彼女の事情も真摯に汲んだ上でその上をいく。
男性のライバルキャラも修羅の道を生きており、互いの生き様を激突し合い戦いで分かり合う。
…主人公はじめとするキャラクターの生き様が、カッコイイです。
その在り方は、昔のスポコン漫画の主人公めいています。
ストーリーは真摯ながら大筋はやはりテンプレではあるのですが。
せっかくの異能バトル物なのだから、バトルこそは華であり醍醐味。
本作はそのバトル面も素晴らしく、名勝負多し。
主人公が無敵ではなく弱点抱えている、勝つための戦術に工夫多い、最後は限界超えたド根性!

ラノベの萌えハーレム物のお約束においても、なんというか、直球で素直な展開で妙に好感が持てる。
ハーレムもチャラチャラしたものではなく、一貫してメインヒロインへの愛を貫く点でも、とても真摯。
これらを支えるのは主人公・黒鉄一輝(くろがね・いっき)の人柄で、「なんちゃって落ちこぼれ」ではなく、しっかりと「ハンデ抱えつつもストイックに乗り越える」
一輝を中心にステラを初め各ヒロイン達の心理描写も丁寧、要所で萌えつつも強豪との決戦を繰り返しつつ、最後まで熱い展開で駆け抜けた。

終盤の敵の卑劣な仕打ちにドン底→それでもなお正々堂々、限界超えてバトル!
大人達の汚い陰謀の全てをブチ破ってのヒロインへの公開告白の流れは正に拍手喝采!
ベタ…?いやいや、ここまで胸のすくような爽快なベタは近年滅多に無いですよ。
ラブコメ面でも、勧善懲悪の意味でも、してやったり!というカタルシス抜群でした。

…この他にも、全般的に真面目な作風の割には、意外なギャグやネタの伏兵が。
「ランニング20キロ」
「そうだジャンケンで決めよう!」
など、真剣大真面目でありながら不意に笑えるネタもちらほらある点も見逃せない。

昔から数多のラノベアニメ観続けてきたつもりなのですが。
本作はその中でも傑作と見て良いのでは。
…ただし、あくまでもテンプレの域は出ていないので、5点かは迷いました。
終盤汚らしい陰謀がややストレス、ストレスフリーで萌え重視ならば(良くも悪くも)凡庸な他作品の方が向いている面も。


『作画』
本作で特筆すべきは、異能バトルシーンの戦闘作画。
単純に激しさや華麗さだけではなく、殺陣として素晴らしい。
最終話の劇画調など、作画は綺麗さ以上に演出面も大事だと実感する。
剣と魔法(っぽい異能)組み合わせた迫真のバトルシーンは圧巻。
特に10話の珠雫VS刀華は主人公差し置いて本作ベストバウト、2015年度全般から見ても最高水準なのでは。
10話だけ何度も繰り返し観る度に手に汗握る…!
純粋なクオリティーではワンパンマンに及ばないかもだが、演出面で凌駕していると思う。

キャラデザ面では平凡なラノベ絵、絵的な可愛さでは同期の学園都市アスタリスクに軍配が上がる。
しかし、要所でのあざといお約束な萌えシーンが直球素直、こちらも十分負けていない。


『声優』
逢坂良太さんのストイックにして鬼気迫る演技は迫真でした。
細谷佳正さんとの修羅めいた掛け合いは引き込まれる。
ヒロイン勢も石上静香さん東山奈央さんも可愛いのですが小林ゆうさんの陰のあるヒロイン良かったです。

本作で影のMVP、4話で主人公とバトルした松岡禎丞さんでしょう。
素晴らしいゲスっぷり!素晴らしいカマセっぷり!そうだジャンケンで決めよう!
強烈なインパクトあり、松岡さん、普通の主人公よりこういうキャラが輝くとは…。

また主人公の父の速水奨さんも外せない。
「暗殺教室」の浅野理事長に続き、冷徹な父親役ナイス。
※余談ですが
「アルドノア・ゼロ」において、速水奨さんはクルーテオ卿。
逢坂良太さんはクランカイン…クルーテオの息子でした。
つまり…アルドノアに続き、速水さんと逢坂さん、父子…
ついでに。
赤座守が大川透さん、ザーツバルム卿…
黒鉄厳(くろがね・いつき)に赤座守「支部長…待たれよ」と言ったり奇襲するかと思った。


『音楽』
主題歌「アイデンティティ」は一見ドロ臭く、暑苦しい印象でしたが…
主人公たる黒鉄一輝の信念と生き様の全てを叩きつける良主題歌でした。
最終話のクライマックスで挿入歌も大いに盛り上がる。
ED「波羅蜜恋華」はイントロが独特。ラスト「おしり~」という空耳がw

『キャラ』
主人公・黒鉄一輝が非常に好感の持てる男でした。
なんちゃって最弱ではなく、実際に異能バトル面でかなりハンデ抱えつつも研鑽を怠らず、格上の異能持ちを凌駕していく。
人格面でも紳士的かつ真摯な人柄で、男女問わず好かれるのに説得力あり。
卑怯も正々堂々と受け止めて破る、まさにヒーローでした。

メインヒロイン・ステラは一見テンプレなエリート姫、デレ方が素直で可愛いです。
見せ場は少ないのが残念ですが、地味ながら終始メインヒロインとしての存在感は譲らず。

妹の珠雫(しずく)は兄さん大好き妹ですが「さすがお兄様!」な感じの露骨さは無く、妹として純粋に兄を想う健気さがグッと来る。
10話の生徒会長とのバトルは素晴らしかった。
会長も良い人なのが終盤の爽やかさに。

綾辻さんは裏表の無いステキなヒロインです…。
一番紆余曲折ありハラハラさせられましたが、最終的には一番ドラマあり。

オカマな凪は好感の持てる人格者、珠雫の良き理解者として存在感あり。
できれば彼のバトルも見たかった。

倉敷蔵人は一輝にとって一番良き好敵手(ライバル)であり、互いの信念の激突と友情は見事。

父は根は悪い人じゃないのかな?
赤座守は理想的なゲスでナイス!赤座あかりちゃんは可愛いし良い子なのに…ゲスめ!
こういう汚い憎まれ役は大事ですねぇ。
あと、4話の松岡さん演じる奴も印象に残る敵でした。{/netabare}

投稿 : 2016/01/27
閲覧 : 318
サンキュー:

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