listp さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
個人的には最高傑作
(個人的ナンバーワン作品なので長文で)
このアニメほど心の痛みを感じるアニメはないと思う。
グロさ、残酷さという面でよく比べられるのが〈ひぐらしのなく頃に〉だが、グロさという面ではひぐらしのほうが上だと思う。
でも、ひぐらしはなんというか、自分で感じる痛みとしては、(完全な主観なのですが)サラっとしているのです!?でもこのアニメから感じる痛みはもっとドロっとしていて、本当に自分の痛みとして感じられるというか・・・なんというか・・・。そんでそういった痛みの蓄積が最終回に爆発します。
もうあのお父さんとの対面シーンは本当に号泣もんっすよ。
このアニメは音楽も素晴らしくて、っていうか、毎回オープニングで流れる曲はいったいなんなんですか!?ありゃあすごいよ。もうオープニングだけで苦しくなってくる。トラウマもんですよ。聞くのが辛くて、音量を下げたりしてたっけ。
とにかく見ていて苦しいんです!本当に。悲しくて、悲しくて。人間が産み出す、苦しみ、悲しみ、そういった感情を凝縮させたようなアニメで、バイオレンス系が苦手な人も見て損はないと思う。主人公はみんないろんな苦しみを抱えていて、特にルーシー達は本当に絶望の中を生きていると言っても過言じゃない。でもそんな中でも、傷ついた者達が一緒に集まり、力を取り合って生きていく姿には希望も見える。
でもそれはあくまで“人間”にとっての希望なんだよね。ルーシー達は最後まで報われない。報われるためにはあくまでディクロニウスをやめて、“人間”として生きなければならない。
角を隠して、能力を使わずに、少数派であることをやめなければならない。そうしないと、たとえ人を傷つけなくても、きっとルーシーが子供の頃に経験したようなことが、大人になっても繰り返されちゃうから。
自分達とは違う、(なんらかの理由によって)少数派となったもの達に対する多数派の横暴。少数派の方は、その中でさらに自分たちよりも下の連中を作り出し、そのなかでさらなる階層をつくる(子供のころのルーシーは最底辺だ)。そして、多数派への憎悪を募らせ反発する。その反発に多数派は怒り、さらに少数派を打ちのめす・・・。人間の世界はそういった憎悪がいたるところに見出されるし、もはやカオス状態。それは一度始まると永遠に続く。
アニメのなかでは、コウタがそういった永遠に続く憎しみ合いを「許せないけども、大好きだ」という矛盾したような言葉で終わりにする。
アニメだから出来ることだが、それでも心を打たれるものがあった。
もう一回観返そうと思いながら、観るのが辛いので観返すのをためらっている作品でもある。
誰か、エヴァみたいにもう一回リバイバルしないかなあ。作画はもっとうまくやれるはずだと思う。