宵茶 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
だから・・・遅過ぎたと言っているんだ!
東京に雪が降るとこの作品を思い出す。
言うまでもなく押井守の傑作。
パトレイバーと銘打っているものの、必ずしもレイバーである必要性は感じられない。はっきり言っちゃうと、レイバーなんて全体で5%くらいしか登場しない。その意味でもこの作品のロボット成分は不適切。なんでこうなってるのか…。
逆をいえば、一切の作品知識がなくてもある程度は楽しめる。
また、ストーリーも総合エンターテインメントたる劇場版1とは決定的に異なり、イデオロギーやら政治やら軍隊やらとキナ臭い内容。この時点でダメな人は本当にダメだろう。途中で寝る人もいる(私の友人は二回チャレンジして二回寝た)
が、紛うこと無き傑作であることだけは保障する。
遅すぎることは無いので視聴を是非オススメしたい。
物語:
例によって構成がうまい。ベイブリッジ爆破から始まり、胡散臭い男の接触、そして…と、淡々と進むようでいて、飽きない構成。単なる制作者の自己満足ではなく、観客のことを最大限意識していることがうかがえる。
ここから激しくネタばれるが、幻の爆撃は何度見ても震える(今、サントラを聞きながらレビューしてるが、ストリングス三連が入ったところでもやっぱり鳥肌が…)
実体を伴わないにも関わらず、当局を混乱せしめ、状況を進行させ、なおかつリアルに影響を及ぼしている(成田、羽田の発着が一時オールクローズ)という点に注目したい。
ありもしないものに踊らされ、他方で、実際に起こっていることには目を瞑る。そうやって都合の良いものだけ取捨選択してきたアンナチュラルシティー東京。
なお、この実体と非実体のボーダーにフィーチャーしたのが攻殻機動隊だろう。
声優:
竹中直人がはまりすぎてて…。ただ、声優慣れしてないせいか、初見のときは「え、なんて?」って思ったところもあった。
キャラ:
後藤と荒川、これに尽きる。
南雲さんも悪くないが、二人の影に隠れてしまうね。
作画:
ちょっと、話は違うが東京をここまで胡散臭く、かつリアルに描いた作品をとんと知らない。
これもよく話題にあがる場面だが、治安出動発令後の街の描写は、フィクションであるにも関わらず、圧倒的にノンフィクションである。この演出だけで星5個あげたい。
音楽:
先に述べたとおりサントラを持っているくらいだから、評価は高い。川井憲次はこの作品で一つの到達点に達している。以降、攻殻機動隊やらNHKの沸騰都市やらに見られるように、社会や都市といった表現において、彼にしか出来ない世界観を構築した。