タケ坊 さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

心の琴線に触れる、郷愁と癒やしの世界

視聴前の予備知識はほぼ無く、大した期待はしていなかった。

自分が所謂「日常系」のジャンルに、

これまであまり縁がない、というか興味がなかったというのもある。

それでも何故かこの時は、不思議なことに取り敢えず一話だけでも観てみようと思った。


第一話の冒頭二分以上、ひたすら美しい風景とBGM「陽だまり道」..

そして、れんげの一言からOPへと続くが、

この時点で只ならぬ作品であろうということは、想像に難くなかった。

「りぴーと」を観終わって久しい今でも、この第一話の冒頭部分に、

この作品の魅力が詰まっている、と感じる素晴らしい掴みだったと思う。

それほど、あの時の自分には新鮮なものだった。

それから気付けばこの作品の世界にどっぷりとハマり、毎週の視聴を心待ちにしている自分がいた。


田舎の学校に通う生徒の日常、というだけの内容なのだが..

牧歌的で優しく、かつノスタルジックな雰囲気に溢れ、

背景描写、絶妙の音楽と間を活かした演出が非常に効果的で、かつ丁寧に作られている。


そして、描かれるキャラクターたちは、単なる「萌え」だけでない個性を持っている。

中でもれんげの存在感が強烈だ。

小岩井さんの演技が実によくハマっていて、

ユニークかつシュール、ときにはブラックで..ぶっ飛んだキャラなのだが、

あどけない純粋さも持ちあわせており、

彼女の一言一言が面白可笑しく、また心温まるエピソードには思わず目頭を熱くさせられる。

男のキャラは兄貴くらいのものだが、たまに出てきては、地味に良い味を出しているのも趣がある。


そして毎回観るたびに思うのが、本編終了からのEDの良さ。

しみじみと感慨深く聴き入ってしまう。

正直作詞作曲がZAQというのは意外だった。


この作品は日々の生活でストレスに晒され疲れている人や、

時間に追われるような生活を送っている人には、ぜひのんびりと寛いで観てもらいたい。

最高の癒やしと安らぎをもたらしてくれるだろうと思う。


ただし、この作品にハマって「りぴーと」を含む最終回まで観終わってしまったあとには、

名残惜しさ、喪失感や空虚感に苛まれるかも知れない。