101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
単なる中世キリスト教批判で終わらなかった懐の深い良作アニメ
原作コミックは未読。
「処女何て犬にでもくれてやる!」
全ての人類に原罪を背負わせ、懺悔させる。
その目的を果たすため、子作りは穢れ、産みの苦しみは神の罰という、
恐るべき教義をひねり出した、キリスト教の急所を抉る、
魔女の放言で開幕した本作。
このまま人々を中世封建制に束縛しながら、ろくな救済も与えない、
唯一絶対なる神を打ちのめし、唯一絶対なる近代的自由を全肯定して終わる…。
典型的なキリスト教批判コンテンツのテンプレートに乗るのか?
と思いきや、そうはならなかったのが、
本作の意外性であり、新しい視点でした。
各々が自分の正義や信念で行動した故に生じる対立と混沌……。
百年戦争を舞台にしながら、本作は〝神が死んだ"後、
近代人が獲得した自由で冒す混乱をも予見。
それでも尚、人間の意志を肯定してみようと模索する……。
現代人向けな思索が表現されていたと思いましたし、
多様な生き方の内包という試みからは、東洋的なアプローチも感じました。
エンターテイメントとしては、勧善懲悪を放棄したことで、
多数の正義の乱立により、とっ散らかった印象を持った方もいるでしょう。
またオブラートとして用意された〝処女"に関連したギャグ要素も、
これにより、ますます混迷が深まった人もいたかもしれません(苦笑)
けれど思索の種としては有用な作品だったので、
私は大変有意義な時間を過ごさせて頂きました♪
以下、若干の下ネタw
{netabare} それにしても……魔女が処女で男を知らない故に、
作り出した男の淫魔・プリアポスに付いている物が付いてない件(笑)
今の時代ならネットや美術館、保健体育の教科書等で簡単に解決できそうな問題w
けど中世のドケチな教会は、男の裸体を模写する自由すらも弾圧してたんですよねw
それでも、キリスト教布教に意義があることを条件に、イタリア半島等では、
芸術世界でぼちぼち脱ぎ出してはいました。
ただ、それらの復興運動が付いてる物の巨大三次元化にまで極まり、
百年戦争が終わった英仏にまで波及するのは、もうちょい後の話……。
嗚呼……早く来い♪来い♪ルネサンス(笑)
プリアポスの下半身のためにも、
もうみんな戦いは止めて、おうちへ帰りましょうw {/netabare}