侍 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
幸せになりたい
「電波的な彼女」OVA全2話の2話目です。ちなみに、原作小説全3巻だそうですが1話目同様未読です。
グロ描写については、1話よりは少し多いと思います。1話目を見られたら、たぶん見れると思います。
さて、主人公の「柔沢 ジュウ」はある日電車に乗っていると、ある疑いをかけられ駅に降ろされます。その疑いはある人物のおかげで何とかなったのですが、それはこの先に待ち受けている嫌がらせのひとつにしか過ぎなかったのです。
「幸福」と「ゲーム」は単語を見る限り、ゲームの中の結果で幸福を得る、又はゲームをすること自体が幸福である等というふうに様々な捉え方が出来ます。ですが、このアニメではその「幸福」自体をゲームの一部にしているのです。
幸福ゲームとはよくいったもので「幸福」を目に見えないものから、あたかもそこに存在しているように見せ、なおかつ本当に見えるようにするとは。しかもそれをゲームとして無自覚に楽しむようにしてしまう。電波な人間は怖いものです。
人は幸福を欲しがる。だから幸福を得るために、自分が幸福と感じることを趣味として楽しんだり、仕事にして働いたり、趣味をするために働いたり等をすると思います。
{netabare}しかしこの作品に出てくる幸福を欲する人達は、自分が幸福になろうとせず、他人を不幸にすることで、あたかも自分が幸福になったような錯覚をしている。いや、させられてしまっている。そしてその「他人」という名のターゲットとして、ジュウが選ばれてしまった。
確かに自分より不幸な人間を見ると、可哀想と思ったり、同情したりしてしまう。でもそれは逆に考えるとそう思えるくらい自分には、まだそう思える余裕が無意識にでもあるとも言えるのかもしれない。まぁ、どう見ても自分の考えすぎなのですが。少し話しが逸れました。すみません。
自分が不幸だから、他人が幸福だからという、全て自分の幸せの為だけという自己中心的な考えでしかないということを理解せず、なおかつ罪悪感を感じていないというのが余計にタチが悪い。見えているのは目の前にある「他人」と「幸福になりたい」という思いだけ。それ以外は何も見えなくなってしまっている。それこそが、本物の不幸ではないのかと思いました。{/netabare}
{netabare}そして最後の白石香里のあのシーン。あれは彼女の、子供の頃からの夢であったという「幸せになりたい」という意味を最期まで彼女は理解できずに間違えて信じてしまった結果で、ある意味可哀想で、哀れですが自業自得だと思います。
そして斬島雪姫が最後に言った、
「因果応報というものは、あまり信じられてない。この世界は怠け者だからな。でも、たまに良い仕事をする」
という台詞の「たまに起こる因果応報」を悪い意味での「良い」仕事をさせてしまった結果だと思います。
確かにあまり因果応報というのは現実ではあまり起こらないと思います。でもやっぱり、その「因果応報」は良い意味での「良い仕事」をしてほしいですよね。
※雪姫さんの台詞の所、おそらく小説と若干違うと思います。文字的にとか句読点とか等。何分原作未読なもので。{/netabare}
{netabare}あと、幸福クラブのメンバーたちを綾瀬一子が閉じ込めた後、ジュウ達と対話するあの演出はわりと好きでした。{/netabare}
EDはルミカさんの「door」です。この曲はすっごい泣けました。歌詞は「いじめ」がテーマなのですが、自身が実際に体験したのを元にしているそうなので説得力があって余計に心に来ました。
このアニメで、他人を蹴落して自分を上げるのではなく自分をしっかり持って、努力して、自分自身で上にあがることが当たり前で忘れそうになるけど、大事なことだと改めて思い知らされました。自分も幸せにはなりたいですが、さすがにこうはなりたくないですね。・・・だってこわいんですもん。ここのキャラ達みんな...。まぁでも、こうならないようにやるべきことをやればいいだけでしょうし...たぶん。
以上です。どこかおかしな所、変なことを書いてあったら本当すみません。長文で申し訳ありませんでした。