moaimoai さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「分人主義」を思い出しました
ミステリーというより哲学的なものも感じました。笑
多重人格や「本当の自分」みたいなメッセージ性のある作品に触れると
平野啓一郎さんの「分人主義」を思い出してしまう。笑
これは「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」など数々のヒット漫画を世に送り出した編集者(現在はクリエーターのエージェント会社コルク代表)の佐渡島 康平さんの話と合わせるとわかりやすい。
分人主義とは
例えば、仕事での自分は相手に論理的にわかりやすく話そうとする。
一方、家族や友達と話すときは全然違う。
また、友達の中でも距離感や関係に応じて話し方や接し方は変わる。
これは各役割を演じ分けているのか?
「本当の自分」というのが中心にあり、「会社用の自分」「家族用の自分」「友達用の自分」etc…
みたいな感じで使い分けているのか?
心理学の自我の発達にもあるけど、こうしたさまざまな社会的役割を統合できない感覚「アイデンティティ拡散」
要は"アイデンティティが〜なぁぁぁあ〜ぁい♪"て状態※サカナクション
青年期あたりで誰もが思うこと
これに対して「分人主義」とは
「演じている」わけではなく、「自然とそういうふうになってしまう」
つまり、人間というのは「本当の自分」が中心にあり各役割をコントロールしているのではなく、すべて他人との人間関係の中に自分があって、「相手によって引き出されている」。
「自分探しの旅」と言うけれど、そもそも「本当の自分」がなければ、その旅は意味がない。
自分というものは、他人によって引き出される存在。だから「本当の自分」というものは存在せず、「家族と接しているときの自分」も「かしこまっているときの自分」も、すべてが「自分」なんだという考え方が、「分人主義」。
という感じで、「分人主義」に共感するかはともかくとして
最終話での真賀田四季が犀川教授やミチルとの会話から、ふとこうした哲学的なメッセージを感じた次第です。笑
何れにしても、好みは分かれる作品ですね(笑)