「雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)」

総合得点
72.0
感想・評価
852
棚に入れた
4706
ランキング
1229
★★★★☆ 3.7 (852)
物語
3.6
作画
4.1
声優
3.4
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

セカイ系SFファンタジー風味の純愛物語?美しく芸術性高い…のですが分かり難いかも…

新海誠監督の3作品目です。
日本南北分断、少女の夢、量子力学・並行宇宙…等々のセカイ系SFっぽい世界観で、2人の少年と1人の少女を巡る青春と純愛を描いています。
新海作品の醍醐味な美しい作画と、純粋だが甘くは無いストーリーが見所でしょうか。

非常に美しいアニメ映画なのですが。
真価積極的に理解して絶賛…出来るか否かは、かなり人を選ぶ作品なのでは。
…私は残念ながら真価理解しきれてないです。なので否定的なレビューに。
(それでも高評価)

{netabare} 『物語』
新海監督の前2作と打って変わって、壮大にして興味深い世界観が魅力でした。
そびえ立つ謎の塔…量子力学的に不思議?少女の夢?宇宙の夢?
なんだかよく分からんが…SF(すこしふしぎ)っぽくてワクワクする♪(単純)
日本分断は漫画でも小説でも結構ある題材…なるほど、ヒロインの佐由理(さゆり)ちゃんと分断されて、少年2人が助けに行くお話なのだな!?
…と思ってましたが…物理的に分断じゃなかったんですね。
※物理的に行けないが近くに見えている異形の物体、セカイ系SF、大きな意味ではラブストーリー…「ラーゼフォン」(2002年)少し連想しました。
ユニオンの塔は、東京ジュピター、みたいな。

世界観はともかく、大筋のストーリーは、少女と少年2人の青春と淡い(というか新海作品特有の苦い)恋愛(かどうか微妙?)にあり。
前半それが美しい映像や詩的なセリフ回し独白で綺麗に描かれており、見ているだけでも惹き込まれました。
…冷静に見るといわゆる「内容」は意外と薄いのですが。
新海作品の醍醐味はひたすら映像美と演出で魅せてくれるところにあり。
その良さを最大限に評価できるか否か…
…私は、中間くらいですかね。
すなわち「雰囲気素晴らしい!けどできればもっと分かり易くラブコメの波動を感じたい」かな。

中盤以降、一気に現実感と喪失感そしてやたらとSF用語が…
量子力学や並行世界との接続云々で、佐由理ちゃんが眠ってしまい、それで彼女が目覚めるとセカイがヤバイ!?
…よう分からんのですが、要は佐由理ちゃんの存在がセカイの命運握っているんですな。
まさにセカイ系ヒロイン!
…何故佐由理ちゃんが!?唐突な…。
そこら辺は後に佐由理ちゃんが、敵国の科学者(塔設計した人)の孫という繋がり出てきますが…分かり辛いです。

まあ難しい話は置いといて(それがセカイ系楽しむコツですし)
セカイの命運よりも、ヒロインとの約束を果たそう!という王道な方向で少年2人が動いていく。
…ここに至る鬱屈した心理描写や関係性の揺れも見所なのでしょう。
佐由理と浩紀が度々「夢?」のセカイで逢いたいのに逢えず存在感だけ感じ続ける展開も、双方の私的な独白と描写で切なく描かれていて惹き込まれました。

何やかんやあって、浩紀が戦闘空域を単騎突入…
ここら辺は特にツッコむのは無粋でしょう。ヒロイン抱えた主人公なら出来て当然!
…最後はロマンチックな再会…かと思いきや…切ない…ああ~流石は新海作品だと思い知った。
べ、別にハッピーエンドで良いじゃないですか…。

総じて美しい物語だとは思うのですが。
意外とラブコメの波動を感じないので、トキメキはあまりない感じです。
拓也は後半の心情描写的には空気だし、素直に浩紀と佐由理のラブコメで良かったような。
何と言いますか…「秒速5センチメートル」もですが、新海作品の恋愛は観念的過ぎるというか、視聴者が感情移入してドキドキし難いです。
互いが好きという感情はもっと単純なもので、分かり易く互いを求め合ってくれないと、共感し難い。
…まあ、本作が描きたかったのは決して「ラブコメ」では無く、もっと複雑で高尚な機微なのでしょうし、これは私の的外れな期待なんでしょう。
ただ、分かり易いカタルシスが無いのは、エンタメ的にはイマイチ。
その為か「素晴らしい作品を観た…という思い半分、もやもやとした物足りなさ半分」が正直な所でした。
これは私の未熟なんでしょう…。
確かに本作も話の構成的に強引な部分はありますが、そこは別に致命的とは思わないので。


『作画』
流石に圧倒的です。この美しい作画と演出でもって、多少の欠点も強引に世界観とキャラドラマに引き込んでくれる。
幻想的な塔がリアル世界と融合している世界観の不思議さ、一転してリアルな描写の数々素晴らしい。
…佐由理ちゃんのキャラデザがもっと可愛ければ5点満点でした。

『声優』
吉岡秀隆さんと萩原聖人さんは本職ではない為か拙い部分ありましたが、結果的にキャラに合っていたのでは。
ただ、やや聴き取り難い部分も。
南里侑香さんは可憐な感じがとても良かったです。
石塚運昇さん、井上和彦さんは流石。
水野理紗さんも年上の女性らしくて良かった。

『音楽』
天門さんが担当した音楽面が素晴らしく、映像美と相まって本作を盛り上げてました。
主題歌「きみのこえ」も綺麗で良い感じの余韻残します。

『キャラ』
…新海作品の特徴として、キャラクター個々の魅力は意外と乏しい気がする。
拓也はいなくて良かったのでは…と言うのは私が本作を理解してないからか。
浩紀はもっと熱血と言うかガムシャラな情熱見せてほしかった。主人公ですもん。
佐由理ちゃんはセカイ系の救われ系ヒロインとしては合格ライン。可愛いです。
可愛いんですが…(視聴者から見て)主人公がこの子の為に命掛けるのも納得だぜ!という程の魅力は無かった。
…全般に観念的というか、情熱が分かり難いです。

ワイルドな武人の岡部、岡部の友人の研究者富澤は大人の魅力あり。
笠原真希の方がラブコメ的に分かり易かった。{/netabare}

投稿 : 2015/12/16
閲覧 : 451
サンキュー:

33

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