zunzun さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
矛盾と整合が織りなす二重螺旋
奈須きのこ原作、TYPE-MOONファンにはおなじみの同作。
特にこの第五章、伝奇ミステリーアニメの頂点にして傑作なのではないかと思う。
しかし、この章にたどり着くまでに視聴者はある程度の予備知識を貯えておかないと100%の感動を恐らく味わう事の出来ない少々難解な作品なのだ。
とはいえ、やはりアニメファンで未視聴は勿体ない程の完成度を誇っているので、視聴を迷わず勧めたい作品だ。勿論、順序は出来れば原作→一章からとなるが。
{netabare}まずこの作品、原作の言葉選びが面白い。それを上手くアニメにしていると思う。
五章には、対比的な表現が幾つも出てくる。
鍵だけは持って家を飛び出した巴
鍵を持たない式
鍵を持つ事を諭していた幹也
根源への到達を目指す、生粋の魔術師である荒耶
根源への到達を目指さない、橙子への憎悪に執着し堕ちていく魔術師となったアルバ
魔術師でありながら全く別の新たな道を見出した橙子
男と女
陰と陽
生と死
東と西
常識の天敵は魔術師
非常識の天敵は式
家族の絆と最愛の他人
それらが整合性を持つかのように均一に配置され、物語は加速し、そして交差する。
反面、演出は時間軸を意図的に交錯させて矛盾する。昔観た、クリストファー・ノーランの「メメント」を彷彿とさせるような。
結局、式は元凶となった荒耶を倒し、幹也も助かったが、失われたものは多大だった。唯一の救があるとするならば、分たれた道を選び、進んだ巴と式の描写があったことだろう。幹也は鍵貰っても自分で使わないからね。
そして、アニメーション制作はufotable。「空の境界」映像化の成功はこの制作会社無くしては成し得なかったかも知れない。本当に良いアニメを観た。 {/netabare}