けみかけ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
‟ドキドキする映画”を観たい人は絶対必視!異形化サバイバルサスペンスの最先端!
人気コミック『亜人』を約100分×3部作の3DCG映画として制作した作品の第1作
PG12指定
『シドニアの騎士 第9惑星戦役』を手掛け面々に鹿住朗生やりょーちもといった2Dアニメの演出家を迎えたスタッフ編成
同じ映像素材を用いて演出を変えたテレビシリーズが2016年1月からスタート予定
外傷、病気、栄養失調などありとあらゆる事象によって「死亡」しても数秒で完全な状態に生き返ることが出来る‟亜人”の存在が確認、研究されている現代が舞台
実際に死ななければ亜人か否かは本人ですら確認出来ないが、姿かたちには何の変哲もない
その詳細は国家機密レベルで管理され謎に包まれている
高校生の主人公、永井圭は考え事をしたまま道路に飛び出し不運にもトラックに轢かれ死亡してしまう
数秒後、同級生たちの目前でたった今死んだはずの圭は生き返る
彼は亜人だった
亜人の研究は世界中で躍起になって行われており、当然日本の政府機関も圭の捕獲に動き出す
圭が亜人だという噂はたちまち日本中に知れ渡り、彼を捕まえようと警察はおろか懸賞金に目の眩んだチンピラまでもが彼を追いかけ始める
亜人に人権は無かった
人付き合いを避けてきた圭にとって家族を含め頼れる人間は誰もいないかに見えたが、旧友の海斗だけは彼に手を差し伸べる・・・
『東京喰種』や『寄生獣』など、異形化してしまった少年が人と異形の狭間の間で揺れ動く様を描いたアニメは昨今様々あります
が、前述の作品群は主人公の少年以外にも様々な思想を持った異形が登場し、群像劇的に異形化した人々の行く末を描いていますよね
これは世界観を広げるという点や、ことなる種族の人権を廻る物語という点においては評価出来ます
しかし、純粋にドラマとして観るなら主人公1人の視点に絞った方が話が散らからずに集中して楽しめるでしょう
原作コミックはどう描かれているか存じませんが、少なくともこの映画では『亜人』という作品は永井圭という一人の少年が生き延びる為、平穏な暮らしを取り戻す為に奮闘する物語として描かれています
つまり前述の同ジャンル作品群とは明らかに描かれ方が違います
(ただし実写版『寄生獣』は群像劇的要素を排していたのでむしろ『亜人』寄りでした)
この圭という少年、劇中では散々「クズ」と言われるほど合理的な思考の持ち主で、あえて例を挙げるなら『寄生獣』においてミギーと混ざったことで変貌したシンイチに近いですかね
無益な殺生はしないし、人間と亜人の争いに介入する気もない
と、亜人化しても常識的な倫理観を持ち合わせているものの基本的には自分にとっての損得を計算して行動していることがバレバレ、なので周囲からは冷たい目で見られているのです
この圭の冷徹な目で周囲を観察する判断力と‟不死身である”という余裕から生まれる行動力が物語を強く牽引しています
そして、一見して被害者なのにその内は腹黒い、という複雑な心情の圭を演じる宮野真守の演技力にも注目していただきたいですね
ちなみにプレスコだそうです
個人的には海斗のバイク(CB400SFっぽい何か)での逃走劇が見どころの一つですかね
確証はありませんがたぶん国道411号線が舞台ですね
同じ内容のテレビシリーズがあるなら映画はいいや、そうお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、是非劇場でチェックすることを強くオススメします
と、いうのも菅野祐悟の劇伴が緊張感を高め、独特の音圧を放つ亜人の特殊能力が劇場の音響設備で味わうと迫力が凄まじいものとなっているからです
一部劇場での上映延長も決まったようですのでアニメに限らず‟ドキドキする映画が観たい”という方はこれを逃す手はありませんよ