アレク さんの感想・評価

3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

自己犠牲の先にあったものとは

面白かったです
この手の中二感というかダーティーな雰囲気は
個人的に好きなのですが、この作品にはそれだけじゃない深みもあって

第一話感想
{netabare} まず１話これはこの類のダークファンタジーとしては完璧な導入だと思います
それくらい完成度が高い、まず気の弱い文学青年の金木が
不慮の事故に巻き込まれ同じく巻き込まれた女性の内臓を移植される
その女性は人間を食料とする喰種という種族で
移植された内臓の影響で彼も人肉が恋しくなるが
その変化に戸惑い空腹のまま街をさまよってると
同種で人肉を捕食している董香と出会う。

自分の体に起きた変化を受け入れられない不安
路地裏をさまよい董香と出会ったことで
新たなほの暗い世界との邂逅が予感され
街の暗さを強調した演出も合わさり
個人的にとてもたまらない雰囲気です。

それに人を食べねば生きてはいけないという設定も
話が進むうちその手の作品はフェードアウトしがちなのですが
しっかりその問題と向き合っていて好印象でした。
喰種は人を食べなければ生きていけない、
すでに死んでる人を食らってもその事実は変わらない
なので生きているだけですでに人を傷つけている
そこら辺の問題が物語の最初に独白される
「もし仮に僕を主役にひとつ作品を書くとすれば ――それはきっと、“悲劇”だ」
という言葉につながってくるのでしょう。{/netabare}


最終話感想
{netabare} 素晴らしい出来です、声優の熱演も手伝いこの回のための今までといっても過言じゃないでしょう
母親から騙すよりも騙される人間になりなさいという教えを実践し
自己犠牲の果てにあったのはジェイソンによる果て無い拷問だった
どうして今の事態になったのか煩悶の果て彼の出した答えは
「すべての不利益は当人の力不足のせい」
という結論に至り、今まで使わなかった赫子を使いジェイソンを倒す決意をする、
この結論が正しく今までの教えは間違っているのか
その答えは各々が感じるべきだと思うのですが
その結論に至るまでの彼の拷問による無限ともいえる苦しみが
ジェイソンの７を数えろに代表とされる変態的な嗜虐性と合わさり
その煩悶の果て彼が出した結論だと考えると
非常に心をえぐられます。
ジェイソンを倒した後１話とは対照的に
自分から人肉を食べる演出になるのも注目です。
ただ一つ原作の違いに不満があって
金木が拷問を受けているときにアニメでは
万丈が掃除役で入り込み金木にもうすぐ助けるからと励ますのですが
原作でそういうシーンはなく本当に２人きりなので
アニメでもそのようにして金木の煩悶の深度をより深いものにしてほしかったです。{/netabare}


半端なとこで終わりましたが既に２期の製作も決まってるようなので楽しみです。