アレク さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
丁寧な演出が光っています
非常に面白かったです。
内容としては彼女たちは346プロという芸能プロダクションには入りアイドルとして一流を目指すというオーソドックスなもので、基本時に優しい世界で努力が報われないことはありません。
しかし何より特筆すべきは細部まで行き届いた演出でしょう。キャラで魅せるタイプのアニメだと思いますが彼女たちのちょっとした会話やしぐさ持ち物に至るまで各人の個性が反映されていてそれが安易な属性付けによる差別化とは違い奥行きのある暖かなもので「けいおん!」のアニメを思いおこさせます。
さらに注目したいのがシンデレラガールズというタイトルにあるとおり彼女たちを童話のシンデレラに見立てる象徴的演出も見られることです。
再三にわたる時計のカットが印象的でした、時計が12時を回り魔法が解けた後彼女たちには何が残るのかを考えながら見るのも面白いかもしれません。
以下自分が特に好きな回を書いていきます
1話
このアニメの素晴らしい部分が集約されています、プロデューサーである竹内Pが卯月と凜をシンデレラプロジェクトに誘う話です。
「笑顔」というやはりこのアニメのキーワードになる言葉が印象的に使われます。
自分が何をしたいかいまいちわからない凜が卯月の笑顔に惹かれ彼女の憧れるアイドルの世界に興味を持つ、というお話としては単純ですが卯月のこの世界に対するキラキラした希望、凜の淡い焦燥感そしてそこから一歩踏み出そうという想いなどが言葉ではなく映像で伝えてやろうという意気込みがバシバシ伝わってきます。
2話
一話の最後で出てた未央が2人と初めて会い特に出番の多い3人が初めてそろいます、またシンデレラプロジェクトに参加するほかのメンバーとの初顔合わせでまた主要人物がわっと増えます、その後宣材写真を撮るのですがそのとき未央のプロジェクト採用理由も「笑顔」であることがわかります。
3人の「笑顔」がどういう意味なのか考えながら見るのも面白いかもしれません、また序盤の山場である先輩アイドルの大規模なコンサートのバックダンサーに3人が誘われるのもこの回です。
3話
いよいよコンサートの本番、見どころは練習を積んだが初めてだらけの事なので不安がぬぐえない彼女たちの姿でしょう、こう書くと意地が悪くなってしまいますが練習もどんなに重ねていても本番が不安なことは誰にもあることだと思いますし大舞台ならなおさらのことです、その心情を舞台裏の喧騒を交えて伝わってきてその時間が否応なく迫ってくる息苦しさのようなものは思わず三人と気持ちが同気してしまうほどでした。
そしてそこからの本番は出色の出来です、私という視聴者が魔法にかけられたのはこの瞬間といってもいいような解放感というか、カタルシスでした。
踊り終わった後に先輩から感想を促され手をあげながら「サイコー!」という彼女たちの笑顔は今でも思い出します。
4話
シンデレラプロジェクトのメンバーの紹介回といったところでしょうか、
各キャラの描き分けが光ります。
6話
この回はバックダンサーではなくいよいよ彼女たちが主役のライブに向けて練習に励みます。しかしここでは特に未央と竹内Pとの微妙な気持ちや認識のすれ違いが丁寧な演出によって浮彫になり本番後にはそれが大きな波紋になります。
7話
受難の回です、その気持ちを反映するように天候は曇り色調も全体的に沈んでいます。これまで主にプラスの方向に向けられてきた演出が今回は逆にマイナスの方向、戸惑い、負の感情、停滞する想いなどを描くことに向けられ胸が締め付けられます。
しかし最後には救い、というか前回のライブお客がどんな反応をしたのか武内Pが未央にちゃんと伝え、未央が自分の行動に後悔し改めて新生ニュージェネレーションとして3人で一歩踏み出すという流れですが、武内Pに行動を決意させる卯月の笑顔が印象的でした。
12話
素晴らしい出来です、いわゆるシンデレラプロジェクトのライブに向けた合宿回なのですがリーダーの役に不安を覚えながら皆の前では気丈にふるまう美波のさりげない描写も見どころですが彼女の提案でいったんレッスンを中止してのレクリエーションを始めるのですがこれが素晴らしい、最初はみんな戸惑うのですが徐々に緊張がほぐれて表情が柔らかくなり、生き生きとなるにつれて画面の光度も上がっていく演出が素晴らしい、そして気分をいやがうえにも高める挿入歌、全話でも白尾といってもいいと思います。
13話
前半の掉尾を飾るにふさわしい回です、6話で視聴者は見れなかったニュージェネレーションの曲目がここで初めて見れます、そして全員そろっての華やかなライブシーン、そしてライブが終わった後6話と今回のライブに来ていたファンからの手紙を見たとき未央が辞めないでよかったと涙ながらに訴えるさまは成長の過程を見ることがアイドルを応援する醍醐味なのだと実感させられます。
後半への期待を大いに高め物語はいったん幕を閉じます。